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オム・ジョンファつながりで、「ホロヴィッツのために」。

ありがちなピアノ教師と天才少年の物語のようなので、かなり迷って、結局、オム・ジョンファ主演だから仕方ない、とのことで見たんですが、これが大正解。かなり新鮮な出来ばえです。

やっぱり配役の妙。ピアノ教師には、最近主演の続くオム・ジョンファ。何枚もアルバムを出す歌の実力もさることながら、ピアノの腕も相当なようです。そして絶対音感を持つ主役の少年には、全国のピアノ教室を1年回ってようやく見つけた、実際ピアノ神童であるシン・ウィジェ。ラストでラフマニノフのピアノ協奏曲を熱演する特別出演のピアニスト、キム・ジョンウォンにショパンの演奏を頼んで、曲を聴きながら涙を流したという感性豊かな少年だそうです。ともかくこの二人の実際にピアノを弾きながらの演技は、弾き真似ですますのに慣れてる者から見れば、それだけで物語を生き生きしたものにしてしまいます。そしてピザ屋の主人には「甘く、殺伐とした恋人」でも好演の「シュリ」縁故採用パク・ヨンウ。

さらにシナリオ。活躍する門下生仲間に劣等感・焦燥感を抱く気の短いオム・ジョンファ、交通事故で親をなくし廃品業の祖母と荒んだ生活を送る少年、自信が無いくせにいつも「ガッハッハ」と笑うのが癖のパク・ヨンウ、とそれぞれに瑕を抱え癖のある三人が出会い、危うげながら、人間関係を築き上げていくシナリオもなかなかです。

勿論音楽は、バッハ、シューマン、ベートーベン、ドビュッシー、ラフマニノフと有名所を堪能できますし、エンドロールの後ろでは、オム・ジョンファのデュエットも聴けたりします。

製作意図がミエミエ丸ミエのシンプルさなんですが、心地好く、その術中にはめられてしまうに違いない、韓国音楽映画の秀作です。