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最近流行りの”女性の本音”を描く秀作、「お熱いのがお好き」。

40代のインテリア・デザイナーは、売れない前衛劇団の舞台美術を担当しているが、若い劇団員とホテルに行ってしまう。彼女の家に居候する妹、20代のシナリオ作家は、何度も書き直しを命じられウンザリしているが、腐れ縁のボーフレンドに黙って、イケメン会計士と見合いしてしまう。インテリア・デザイナーの娘、10代の女子高生は美少女友人の助言を得て、三年越しのイケメン同級生との仲を進展させようと躍起になっている。インテリア・デザイナーは、体の不調から医者に行くと、更年期と宣告され、シナリオ作家は、腐れ縁ボーイフレンドが連れ込んだ女の子に遭遇して激怒、泥酔して会計士と寝てしまい、女子高生は、恋の助言の勢いが余って美少女友人とキスを交わし、危ういトキメキを感じてしまう…(これだけ書いてもまだ序の口)…果たして、この三人の心と体に平穏は訪れるのか…

40代インテリア・デザイナーに、ベテランで相変わらずの魅力を振りまくイ・ミスク、妹で20代シナリオ作家に、「純愛譜」「サプライズ」のキュートなキム・ミニ、10代女子高生に、今話題の五人組美少女ワンダーガールズの一員アン・ソヒ。ダジャレ好きのイケメン会計士に、7:3分けが妙に似合う二枚目キム・ソンス、腐れ縁ボーフレンドに、『花よりも美しく』『ルル姫』とかキム・フンス、若い劇団員に、「古い庭園」『90日、愛する時間』とかユン・ヒソク、美少女友人に、本当に美少女チョ・ウンジ、イケメン高校生に、『思い切りハイキック』で注目キム・ボム。ちなみに、イ・ミスクに更年期を告げる変な医者は、「妻の愛人に会う」の癖者パク・クァンジョン、印象的なカフェ店長は、名脇役チョン・インギ。

「浮気するのにいい日」「肩ごしの恋人」など女性の本音をあけすけに描くのは、劇場版「SATC」とか時代の流れもあるのでしょうが、その先駆とも云える「シングルズ」のクォン・チリン監督は、カン・モリムのコミック「10、20、そして30」を原作に、素晴らしい女性像を描いたと云えるでしょう。それにしても主役三人の良く喋る事。笑いながら、泣きながら、喧嘩しながら、のべつ幕なし早口で喋っていて、英語字幕にだいぶ慣れてきた筈なのに見終えるのに本編の倍くらい時間がかかったんですが、嘘や隠し事が殆どないので、実に生々しいにも関わらず爽やかな女性像を描き出すことに成功していると思います。主役三人も見事で、更年期に揺れ動くイ・ミスク、ヘビースモーカーで泥酔するキム・ミニ、アイドル・グループのメンバとは思えない弾けぶりアン・ソヒ、それぞれが、いわゆる単なる美形とはちょっと違う親近感あふれる容姿を活かして、女性の本音を真っ正直に体現していて、それはそれは痛快です。

インチョン(仁川)空港の別れも出てきて、終盤多少韓流ドラマ風になったりもしますが、TVドラマでは描ききれない女性の本音は、多くの女性観客を勇気づけるに違いありません。男性観客にとっては、女性陣の生命力に圧倒され、多少疲労感が残ったりするかもしれませんが…

ちなみに、中盤、彼女たち三人が立ったまま”おだ”をあげるカルビ屋は、「浮気な家族」『キツネちゃん、何しているの?』でも使われた、赤煉瓦が印象的なシンチョン(新村)の立ち食いカルビ屋ソソモンヌンカルビチッです。