オム・ジョンファが続きますが、「シングルズ」。
30歳を目前にした男女四人を描いた脚本にしては、アクが少ないなぁ、と思って見てたんですが、1994年に放映された鎌田敏夫脚本『29歳のクリスマス』の翻案でした。納得。
仕事の成果を上司に横取りされた上、畑違いのレストラン勤務に飛ばされるヒロインに、オカッパ・ヘアーがキュートな実際当時29歳の美形チャン・ジニョン。上司のセクハラにキれ辞表を叩きつけた才能あるキャリア・ウーマンに、最近主演の続くオム・ジョンファ。彼女の垢抜けない幼なじみで肉体関係の無いルームメイトに、イ・ボムス。チャン・ジニョンに惚れる証券マンには、「クァンシクの弟クァンテ」で名演のキム・ジュヒョク。ちなみにオム・ジョンファの父親役には、今回はちょっと怖いめのソン・ジェホ。
特に、恋愛関係にない男女三人が交わす、仕事や友情や恋愛やセックスに関する本音に満ちた会話が秀逸です。オリジナル脚本がいいのでしょうが、チャン・ジニョン、オム・ジョンファ、イ・ボムスの飾らない、それでいて少しオーバアクションを交えた演技が、さらに生々しい29歳の現実をかいま見せてくれます。
ギラギラした恋愛ものが多い韓国映画には珍しく、気取らない木綿の手触りが心地よい、そしてやはり珍しく、男女、女同士の友情が爽やかに描かれた佳編です。