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二人の怪男優の怪演たっぷり怪しいB級コメディ、「愛情の欠乏が二人の男に及ぼす影響」。

大企業へのクレームを生業とする父親、バイトに明け暮れる早熟高校生、という男二人暮らしの家に、1階を喫茶店として借りたいという色っぽいバツイチ女が飛び込んでくる。妻・母を亡くして5年の二人の男は、目の色を変えて、彼女の争奪戦を繰り広げるが…

父親には、端正な顔だちながら「不朽の名作」「地球を守れ」からずっと怪しい役以外は引き受けない怪男優ペク・ユンシク、息子に、いつのまにか個性派脇役を脱皮し一人で映画を支えられる芸達者ポン・テギュ、色っぽい喫茶店のママに、保険をかける程の美脚の持ち主イ・ヘヨン。下町の住人には、パン屋に、アン・ギルガン、ホモのスーパー店主に、ウ・ヒョン、とか個性派が顔を並べます。

ペク・ユンシクかポン・テギュの独特のギャグが好きでないと、とても最後まで見ることは出来ないでしょうし、逆に好きなら、これ程、心底堪能出来るコメディはそうそう見つからないだろうという珍品。ストーリーは、父と息子が一人の女性を取り合うってだけの、昔の「駅前」「社長」シリーズみたいに軽くてお色気もある能天気庶民コメディ、って感じなんですが、主演二人の演技は、シュールと呼んでもいいぐらい弾けていますし、大半が下半身系であるギャグもぶっ飛んでいて、2時間爆笑・苦笑の連続です。ペク・ユンシクの『パリの恋人』パク・シニャンのあの名シーンや、ポン・テギュの「オールドボーイ」「リング」のパロディ・ギャグも冴え渡ってたりしますし、日本のAVをネタにした日本語ネタも爆笑もんだったりします。

この波長に合う変な観客がどれくらいいるのか、かなり微妙な気はしながらも、ペク・ユンシクやポン・テギュに興味のある方は、見ないと絶対損することは間違いないでしょう。

余談ですが、この作品もキム・ソンフン監督のデビュー作なんですが、ここ数年、「甘く、殺伐とした恋人」「僕の彼女のボーイフレンド」「極楽島殺人事件」「ピーターパンの公式」とか、ジャンルや作風はそれぞれ違うながら、全く集客力が未知数の、新人監督の意欲作、冒険作が次々と公開されており、多少地盤沈下も囁かれる韓国映画界の次の全盛期を作っていくんだろうな、そんな予感を抱いたりします。