事務所の前でキュヒョナとリョウギが待っていてくれた。

部屋にドンへを運んでベッドに寝かせた。



「うっ…ぐ…」



キュヒョナがドンへの手を握りポロポロと涙を流している。



「キュヒョナ…?」



「ドンへちゃん…っが…怖かったっだろうって…ひどい…目に あって…それなのに…おれ…なんもできなくて…っごめん…ごめんね?ドンへ…ちゃん…ごめん…」



泣きながらドンへの手を握って謝り続けるキュヒョナの姿に胸が締め付けられる。



「キュヒョナ…」



リョウギがキュヒョナを抱きしめ床に座らせ、背中を優しく撫でてやっている。

俯いたキュヒョナの涙がポタポタと床に落ちて…

ああ。もう本当にオレは最低だ。
オレの所為でキュヒョナにまでこんな思いをさせている。



「キュヒョナ…ごめんな…。 ったく オレって…本当にダメだな」



ため息が出る



「誰も幸せにできてねえ。幸せに、どころか…みんなを泣かせてる…」


「ヒョクチェヒョン」



キュヒョナを抱きしめたままリョウギがオレの頬を撫でてくれる



「でも…ドンたんにはさ?ヒョクチェヒョンだけなんだよ?側にいてあげる事でドンたんを幸せにしてあげてるでしょ?それに ボクだってキュヒョナだって 所長の下だから働いているんだよ?所長はさ…ボクたちの事だって幸せにしてくれてる。ちゃんとね。だから…誰も幸せに出来てないとか言わないでよ」


「あり…っ…がと…」


「泣かないでよ~ ほんっと…所長っ…ってば …涙もろいなあ 」



とか言ってるリョウクも泣いていた。





少し落ち着いてから 思い出した事があった。



「お前、イェソヒョンに連絡したの?」



リョウギに聞くと



「うん…ヨンウンヒョンにも、二人とも行った?
昔ヤンチャしてたって言ってたから、助けになるかと思って」




昔ヤンチャしてた?
やっぱり、都市伝説なんかじゃなかったんだ。
イェソヒョンとカンインヒョンがあの伝説の二人だったんだ。



「本当に助けてもらったよ。ありがとう。イェソヒョンにもカンインヒョンにもお礼言わなきゃ」


「カンインヒョン?ヨンウンヒョンだよ」



リョウギはあの二人の昔の事を知らないんだ。
まあ、イェソヒョンが自分で『俺、伝説の男なんだよ』なんて言わないか。



「キュヒョナ、お前は大丈夫か?ミンヒョンに連絡した?」


「うん… ドンヘちゃんがいなくなってみんなで探してるから遅くなるって言ったら心配してこっち来るって言ってたけど、ウチで待っててって言ったんだ。ドンヘちゃんが無事に…見つかったって連絡しなきゃ」


「悪かったな。ホントにみんなに心配かけて…ミンヒョンにも謝ってたって伝えておいて」


「伝えとく…」





二人が帰ってから
ドンヘの隣にそっと横になった。


ポケットのスマホの振動で目を覚ました
イェソヒョンからだった。

『 明日でもいいからウチの店においで。今日一日はちゃんと休めよ?』

お礼と明日行くという返信をして 、ドンへの顔を見る まだ青白い頬をそっと撫でて 手を握り指を絡める



「ごめんな…。辛い思いさせて…目ぇ覚めたらオレの事ぶん殴っていいから、好きなだけ殴っても、蹴ってもいい…。けど 嫌いにはならないで、おれの側にいて、一生オレの側に…いて…オレから離れないで…」



涙が溢れて ドンへの頬に落ちた。



「ドンへ…オレは…オレの幸せはお前と一緒にいることなんだ…。お前がいてくれるだけで幸せなんだよ?お前がオレから離れて行ったらオレは生きていけないよ。だから…」


「ば…か…」


「っ…ドンへっ?」



ドンへが薄っすらと目を開けオレを見る



「ばか…オレが ひょくのこと…キライになんかなれるはずない…のに…。どんなことがあっても…オレはひょくの…そばにいるよ。ひょくの幸せはオレの…幸せなんだもん…」


「ドンへ…」



ごめん…ありがとう。



「ひょく…?」


「ん?」


「ひょく…は…ちぇみくんの…ことすきなの?」


「… オレ、お前に話してない事があった。」


「なあに?」


「チェミンは高校の時の同級生だった…」


「それはしってるよ」


「うん… で、高校の時…」


「おちゅっ…ちゅきあいしてたの?」


「えっ…⁈ 知ってたの?」


「んんん。しらないよ。でも…そんな気がした。ひょく…ちぇみくんのことすごく大切にしてあげてたから…」


「大切ってゆーか… あいつが辛い目に合ってるのとか知って放っておけなくて…。けど、結局お前に辛い思いさせちゃって…オレって本当 最低だ」


「ひょくは やさしい… すごく やさしい 。だからオレのコトもちぇみくんのコトも守りたかったんでしょ?」


「… 守りたかった、のに…全然守れてなかった。ごめん…ドンへ…」


「まもってくれたよ?オレは ずっとひょくに まもってもらってる。でもね。ひょく」



ドンへがオレの頭をそっと抱きしめる



「オレも…ひょくをまもりたいんだよ?ひょくがオレのコトまもりたいって思ってるキモチとおんなじくらい、オレもひょくをまもって…ささえて あげたいんだ…」



そう言って にっこりと微笑みオレを見るドンへ。

菩薩のようなその微笑みにオレは救われる。

そうだよな…
オレが守るなんて偉そうな事を言ってたけど…いつだってオレはこいつにこうやって守られて…救われていたんだ。



「ひょく…助けに来てくれてありがとう。つかれたね。ねんねしよう?」


「うん…」



ドンへの胸に抱かれ、ドンへの匂いに包まれ、
オレはいつの間にか眠っしまっていた…。
















つづく