こんにちは、押田です。梅雨もいよいよ残りわずか、暑い暑い夏はすぐそこまで来ているようです。
先日、3歳のうちの娘に「となりのトトロ」を見せたくて、宮崎駿DVDBOXを購入しました。
宮崎アニメはたまにTVで見たりしましたが、
「となりのトトロ」も私自身久しぶりにじっくりと見ました。
内容もわかりやすく、可愛らしいトトロの映像を初めて見た娘は大満足したようでしたが、一緒に見た私も、やっぱり面白いし、深いなぁと思いました。
小さい子供は面白いとわかると同じ作品であろうと繰り返し何度も見ようとしますが、、よほど楽しかったのか、数日間はトトロ漬けの日々を送りました。
このDVDBOXのおまけに それぞれの映画の企画書というのが記されていました。
「となりのトトロ」の企画意図に以下のようなことが書いてありました。
『恋人たちはいとおしさを募らせ、親たちはしみじみと子供時代を思い出し、子供たちはトトロに会いたくて、神社の裏の探検や樹のぼりを始める。
つい最近まで「日本が世界に誇れるものは?」との問いに、大人も子供も「自然と四季の美しさ」と答えていたのに、今は誰も口にしなくなりました。 ~中略~
この国はそんなにみすぼらしく、夢のないところになってしまったのでしょうか。 ~中略~
忘れていたもの、気づかなかったもの、なくしてしまったと思い込んでいたもの、
でも、それは今もあるものだと信じて「となりのトトロ」を提案します。』
・・・とあります。トトロは1988年、バブル全盛の頃の作品。
「トトロってかわいいね!」では済まされない、宮崎駿さんの自然に対する深い尊敬の下にこのアニメは作られていたことがわかります。
写真は、私の母校でもある、用土小学校にある、大きなトトロ!
中はウサギ小屋になっています。
映画と同じ季節、梅雨の空がよく似合います!今にも飛び上がりそうなトトロ!
埼玉には、となりのトトロの舞台になったといわれる、
狭山丘陵、通称「トトロの森」というのがあります。
私の所属する日本造園組合連合会の埼玉県支部青年部の事業として、今年5月に入間市の「さいたま緑と森博物館」周辺を見学、散策いたしました。
宮崎駿さんもここ入間市と近隣の所沢市在住です。
かつての武蔵野の面影、「緑の孤島」ともいわれる狭山丘陵。
美しく多様な自然環境を有する、トトロのふるさと。
そんな里山の環境、文化を守ろうと発足されたのが、
「トトロのふるさと基金」です。1990年のこと。
心無い乱開発を防ぎ、次世代に貴重な自然環境を残していくため、この団体は市民や企業から寄付を募り、豊かな自然の残る森を買い取り、保全しています。
1990年から集められた寄付金は現在4億円を突破。
一番最近では、今年5月27日にトトロの森25号地を取得した模様です。
日本では古くから雑木林から薪を取り、下刈りをし、落ち葉をかき集め、それを堆肥として利用する。
里山の景観や環境は人々が自然とうまくかかわりながら作り上げられてきたものです。
散策路の途中にあった、大きなシラカシ。
トトロの映画に出てくる象徴的な大きな木は確か「クスノキ」でした。
これは、うちの会社にあるコナラの苗木。
去年の秋、コナラのどんぐりを拾いポットに蒔きました。
それが今はこんな状態。
うちの子供も一緒にどんぐりを拾いました。
4月に芽を出し、3ヶ月あまりでここまで成長しました。
トトロの映画でも、庭に蒔いたどんぐりがトトロたちによって次々に芽を出し、大木へと成長していくシーンがありました。
このシーンを見たうちの娘も「うわー」と歓声を上げました。
こちらはネズミモチの苗木。
これも昨年種を取り、蒔いたものです。
私は「雑木の庭」づくりで使用するために昨年から植木生産を始めています。
他にもエゴノキ、ヒサカキ、カクレミノ、ヤマザクラなど・・。
近頃の造園業界は雑木ブームです。
今まで市場で安価だった雑木も価格が一気に上がりました。
私も千葉の高田造園設計事務所のつくる雑木の庭を知り、
「これだ!」と思い、雑木の庭を作り始めて1年半。
ただいたずらに思いつきや見た目を重視して木を植えるのでは木々は順調に育ってはくれません。
作ったときが最高、徐々に山採りの木が樹勢を落としていく姿を私も以前は経験してきました。
しかしながら木を植えるときに大切なことは、その土地の気候風土にあっているかどうか、自然の摂理に沿った植え方をしているかがとても重要です。
「地産地消」。
結局、野菜作り、家作り、庭造り、何の業界においても行き着くところはここのようです。
まだまだ自分で育てた木だけで庭づくりをすることは不可能ですが、5年~10年後には実現していきたいと考えています。
これは去年の春先に植えた1mのコナラの苗木。
今では大きいもので高さは3m近くあります。
コナラなんてどこにでもあるように思われますが、現在私が庭づくりで使用しているコナラは植木生産が非常に盛んな埼玉県北地方でもほんのわずかしかありません。
実はコナラの6割~7割は群馬県の嬬恋と栃木県の大田原から仕入れています。とても不自然な状況です。
それだけ庭づくりにおいて一般的な造園業者がコナラを使用していないということです。
これは
トトロの森で見られたしいたけの栽培風景。
コナラやクヌギの薪を利用しています。
コナラやクヌギを中心とした雑木林は、長い間人々の生活を支えてきました。このようなしいたけ栽培も当時は貴重な現金収入だったと聞きます。
トトロの森をはじめ、里山の環境は人々が管理していくことでその美しさや機能を維持できます。
逆に言うと、管理しなくなったり、できなくなると山は笹が伸び、竹が進入したりと、しだいに荒れていきます・・・。
ガソリン、石油、電気・・。
現代の我々の生活様式というのは残念ながら里山の恩恵というのをほとんど必要としていません。
このためにこのトトロの森をはじめ、美しい里山の環境を維持管理していくのは容易なことではありません。
全国のあちこちで志のあるボランティアが下刈りや落ち葉掻きなどをしていますが、その活動の運営というのは非常に難しく、活動が尻つぼみになっているところがよくあると思います。
しかしながら、3年前に東日本大震災が起こり、我々はこのような現代の生活を見直すまたとない機会に恵まれました!
このままではいけないということは誰もが感じています。
里山と人がかかわりながら、利益を生む新しい仕組み・・。
現代における人々と里山との新しいかかわり方というのをみんなで考え、実現していかなくてはいけません。
先日、昨年植えたコナラにカブトムシのメスがやってきました!母屋の玄関のすぐ横です。
オスではなかったが、これは嬉しかった。私の子供の頃は近くの雑木林へカブトムシやクワガタを採りに行ったが、それが玄関のすぐ近くにいる!これはすごいことだ!
コナラを中心とした雑木の庭は朝から野鳥が鳴き、蝶やテントウムシ、昆虫も増える。
これは消毒をしないことが大前提です。うちの庭は完全に無農薬になりました。
というより、その土地の気候風土にしっかりと適合した健全な樹木にはほとんど害虫は付きません。
今年は今のところシラカシに少しアブラムシが付いた程度です。害虫が付いた木は何か原因があります。水が足らなかったり、日照の問題があったり・・。
心身ともに健康な人間が病気にならないのと一緒であります。病気になるから薬を使う。
病気になるには何か原因があるはず。それを治していくことで健康になる。
里山の雑木林と雑木の庭。
似ているようで似ていない。近いようで遠い。
日本人が長年培ってきた里山での知恵を庭づくりでどのように生かしていけるか。どんなことができるのか。
『となりのトトロ』を見ながら、もっともっと追求していくべきだと思いました・・。