こんばんは、押田です。10月18日(土)、19日(日)、心地よい秋晴れの中、第3回全国造園技能競技大会が京都府立植物園で行われました。
この大会は、同じ材料、1日半という制限時間の中で、12㎡の庭づくりの技とアイデアを競う大会です。
全国から16チームが参加、造園連埼玉県支部青年部からも、作庭志稲田の稲田裕佳さんと、庭照苑の羽鳥照久さんの2人がチームを組んで参加しました。
といったところの埼玉チームの区画、11番。
ガーデンコンテストの常連、
東京からGREEN ARTの木下さん。
いつもは陽気な木下さんですが、競技中は基本的に参加者と話ができません。
外から声援を送ります。
今回は造園連青年部からの参加。
作業に没頭している様子です。
しかしながら、同業者の仕事ぶりが見られる場もそうはありません。
どんな風に石を置くのか、どのように仕上げていくのか、
とても興味深いものです。
こちらは地元京都、「雅流」チーム。
地元だけあって並々ならぬ気迫を感じます。
時間が経つにつれ、我が埼玉県支部青年部チームもだんだんと形が見えてきました。
まだ30代の若い二人です。
作業中はもちろん重機を使えません。
結構な大きさの石も2人で力を合わせて運んでいきます。
造園業界では石を動かしたり、運ぶことも技術の一つといわれます。
各チームの進行状況はバラバラですが、明日の半日で完成を目指します。
この日の夜、埼玉から駆けつけた応援部隊10人を交え埼玉チームの激励会を行ないましたが、明日の作業が残っているため、早々に切り上げました。
残り時間も少なくなる中、各チームとも懸命の作業です。
和歌山県、くすのきとかぜチーム。
石の使い方一つをとってみても、立てたり寝かせたり、埋めてみたり、傾けてみたり・・とそれぞれのチームの個性が出てきます。
全国青年部チーム。東京の龍崎さんとチームを組んだ長野の荻原高志さん。
昨年4月、埼玉県深谷市で臥龍垣の講習をしていただいた荻原博行氏の息子さんです。
竹を割り、細くさばいていく技術は、見ていても飽きません。
得意の臥龍垣も創作的な形で今回披露しています。
大宮盆栽レストランの工事の際に自分も経験しましたが、竹を細く細く割いていくことは本当に難しいことです。
手際の良い仕事ぶりに、多くのギャラリーが感心しておりました。
女性の参加者も目立ちました。16チーム32人中、女性は4名。
滋賀県から参加のLake Hopeチーム。唯一の女性2人のチームです。
石積みの本場、滋賀県らしく見事な石積みと竹穂を使った独創的な垣根。
これからの造園業界は女性が活躍する時代です。
こちらも京都らしい石の使い方を感じます。
それぞれの地域の個性が垣間見えるのもとても興味深いものでした。
日曜日ということもあり、京都植物園は多くのギャラリーで賑わいました。
東京、木下さんのチームも完成が見えてきました。
初日に竹と丸太で作られた「縁側」がはこびこまれました。
チーム名は「稲と鳥の魂」です。私が考えました。
最初はチーム「空っ風」という案もありましたが・・。
稲田さんの稲と羽鳥さんの鳥から付けたチーム名です。
稲と鳥(本当はあと太陽が入ります)は日本の文化の原点を象徴するものといわれてます。
稲と鳥はとても相性が良いことや、日本文化の原点を尊重する意味でのチーム名であります。
そして、タイトルは「縁側の物語」です。
おじいさんと孫との縁側での穏やかなひと時を表現しています。
とても何気ない文章ですが、稲田さん、羽鳥さんの庭への強い思いや信念を感じました。
是非読んでみてください。
「ようやく形になった」ということで、稲田さんの自宅に何人かで激励に訪れました。これが10月11日午後6時半。
設計は数ヶ月前に提出していますが、実際につくりながらアイデアが湧き、変化していくのが造園家というものです。
自分で設計したものでも、もっと良くならないかと試行錯誤しながら完成までには徐々に変化していきます。
埼玉チームも設計段階よりも進化し、作業量がかなり増えたようです。
制限時間が1日半という時間の中でこれだけのものを作るのは正直大変かな、と感じました。しかし、きれいに仕上げることができれば上位入賞も夢ではない、と思いました。
そんな作品を見た後、稲田宅の和室で、コンセプトの文章を皆で読みました。
普段も一緒に仕事をされている稲田さんの奥さんとも初めてお会いしました。
今回、稲田さんの両親と3人の子供を連れて奥さんも京都へ応援に行くということをこの時知りました。
「こういう機会もなかなかないから・・。」
おじいさんやおばあさんが孫たちと旅行をするなんてそう何度もあることではありません。
今回の競技大会への参加は稲田家にとって、とても大きなものだったように思います。
そういえば自分も両親と自分の子供を連れて旅行なんて行ってないなぁ~
稲田家の和室、縁側越しに見える見事な庭園を眺めながらとても感慨深くなってしまいました・・。
今回の作品はつくりものではない、とてもリアルな「縁側の物語」でした。
稲田さんの家族もお昼頃、植物園に到着しました。
2日ぶりに見るパパに子供たちが歓声を上げました。
「何とか完成してくれ~」
作業量が多いため、時間がギリギリになりそうです。
応援部隊も祈るような気持ちで2人の作業を見つめます。
苔を張り、最後の仕上げに入る埼玉チーム。
見学者がアドバイスや話をすることは禁止なので、見ている方もハラハラドキドキでした。
残り5分、手水鉢に水が入っていません。
「早く、水、水!」と応援部隊も心の中で叫びます。
稲と鳥の魂、「縁側の物語」なんとか完成しました!
縁側を手前に配置、部屋の中から庭を眺める構成の作品です。
縁側の上には、秋明菊の苔玉がひとつ。
心憎い演出です。
石積みや流れ、揚げ簾戸、レンガ積みなど、様々な要素を取り入れ、見ていても飽きない作品です。
竹でつくった2つの湯呑がそれぞれの「縁側の物語」を演出しています。
もう少し時間が欲しかったところですが、とてもよくできたと思います。本当にお疲れ様でした。
今回の全国造園技能競技大会の金賞は、龍崎さん、荻原さんの青年部「KURO髭」チームの「湧くワクする庭」でした。
荻原さんのつくる、創作的臥龍垣の高さや角度が絶妙です。
龍崎さんのつくった延べ段や流れ、築山のひとつひとつにもしっかりとした技術の高さを感じます。
東京と長野という2人の距離を超えて、とてもバランス良く仕上がった作品でした。
金賞おめでとうございました!
銀賞と人気投票の1位が地元京都、雅流チーム、「大地との調和」という作品。
モミジ、石、竹、瓦、苔とシンプルで大胆な構成。
とても京都らしさを感じる作品です。
どこを見ても粗のない完璧な仕上がり。
演出も多彩です。
美しい石積み。
土塀の壁面に秋明菊がとても映えていました。
これも良かった。
瓦屋根のある土塀。作ったばかりなのにとても「古さ」を感じました。
大胆な竹穂の垣根から見える景色が素晴らしい。
皆が同じ材料を使うことから、各チーム様々なアイデアを絞っての作品となっています。
こちらも京都らしさを感じる作品。入賞しました。
入賞はしませんでしたが、計算され尽くした見事な作品。
入賞した、佐賀県吉野ヶ里チーム。
細かく石を並べた延べ段がすごい!
竹でつくったベンチも一般の方からとても好評だったようです。
昨日とは違い、皆がとても清々しい顔に見えます。
1日半の戦いを終え、一般の方からも、惜しみない拍手が送られました。
本当にレベルの高い大会でした。
今回埼玉チームは残念ながら入賞を逃しました。
ここに参加したという満足感とともに、もっと我々が練習をサポートできれば・・と悔しさも滲みます。
昨年、自社で日比谷のガーデンショーに参加した時とは全然違った感覚です。
各地域のブロック代表ということもあり、地域を背負っての大会、まさに団体戦でした。
埼玉県支部からも12名が応援に駆けつけました。どのチームも数ヶ月前から準備してきた「本気」の戦いを久しぶりに見ました。
全国から集まった各チームの見事な仕事ぶりを見れるというものは、自分にとってとても勉強になるものでした。
仕事への情熱、本気さ、庭への強い思い・・。
自分も忘れかけていた熱いものを思い出すような今回の京都旅行でした。
完成した庭園は11月3日まで公開しているそうです。






































































