今年も残り1ヵ月半。
11月から12月は,植木の手入れに追われる忙しい季節。
弊社のモデルガーデンも、すっかり秋から冬の雰囲気になってきました。
今年は、大地の再生の活動や災害復旧などもあり、庭づくりの事はブログにあまり書いておりませんでしたが、
2018年もたくさんの庭づくりの機会を与えていただきました。本当に感謝申し上げます。
いくつかの現場を紹介したいと思います。
家を新築し、デッキも作った。
でも夏、暑くて外に出られない・・・という依頼。伊勢崎市、D邸。
夏は容赦ない日差しが、デッキから室内にも降り注ぎます。
施工後。
デッキの前に7~8mクラスの大きなコナラを植栽し、デッキを木陰に。
奥に見える駐輪場は、草屋根にしました。
木漏れ日が降り注ぐ、気持の良いデッキになりました。(お客様より、写真提供)
夜の景色も美しい!
続いて、さいたま市G邸。
施工前は、雪の風景ですが・・・
庭の幅が3~4mと狭く、隣家との視線が気になってしまう。
住宅密集地ではよくある事です。
1階部分は外構フェンスなどで目隠しができても、さすがに2階の窓までは目隠しはできません。
そんな時は、木を植えましょう!
高さのあるシラカシ、樹高は5~6mほど。
完成。
敷地両側に植栽をし、真ん中には小道を。
2階からも常緑樹のシラカシが、お互いの視線を緩和します。
それから、最近多いのが、ホームセンターの物置では何か物足りない、雑木の庭に合う物置きがない。
という事で、物置も作りました。
焼き板仕上げ、1坪サイズ程の小さな物置きです。
リビングから繋がる縁側。
焼き板の縁側と自然石の靴脱ぎ石。
この狭いスペースでも森の雰囲気に!
よくある住宅密集地の問題も、樹木が解決してくれます。
続いて、既存の庭をつくり直す、リ・ガーデンの依頼。
数年前に庭を作ったが、樹木の調子がいま一つ。
植えた木も何本かが枯れて、庭のバランスが崩れた・・・。
庭の中をよく観察すると、やはり周囲をコンクリートや駐車場などで囲まれ、土の中の空気と水の動きが悪い。
ということで、庭の動線も修正しつつ、水脈整備を行うことに。
植栽地に沿って、コルゲート管を走らせて、
炭や枝葉を入れ、水脈整備を行いました。
既存の浸透桝に庭の外周、2方向からのコルゲート管を集結させました。
ということで、既存の樹木や下草も一旦掘り取り、リ・ガーデン。
施工後。
植栽の配置を変えて、園路は歩きやすいように、固まる土で施工。
土留めの石や洗い出しの砂利は、この庭にあったもの。
あるものを再利用、川越市、S邸。
もうひとつ、リ・ガーデン、同じく川越市T邸。
家の増築に伴い、庭を作り替えたい。
庭に転がっていた石材を、何とか生かせないか?
増築後、家の中や新しいデッキから良く見える、この角地のスペースを生かしたい。
完成。
既存の石材やつくばいは配置をしなおし、灯籠は旦那さんの実家にあったもの。
低い御簾垣(みすがき)は、地際を開けて、風通しも確保!
青竹の筧(かけひ)からは水が落ち、つくばいの下は大きな点穴になっています。
思い切って和の空間にリ・ガーデンしました!
長方形の切り石も庭にあったもの。
直線的だった園路は、緩やかに蛇行させました。
続いてアプローチ付近、施工前。
直射日光の少ないこのスペースには、赤芽ソロやシャラノキ、それから既存のモミジを移植。
足元はスッキリとしつつも、立体感のある植栽に。
そして、今回は初の試みを行いました。
こういったモダンな植栽の下草は、お客さんの好みやニーズについていくのはかなり難しいです。
我々が下草を植えようとすると、どうしてもセキショウやヤブランなど地味な山野草に偏ってしまいます。
ということで、低木や下草は「花思草」の瀬沼泉さんにお願いしました。
中高木は我々が植えて、あとはおまかせする、というパターン。
フラワーアレンジも得意な瀬沼さんのアイデアで、
剪定したオリーブの枝を使い・・・
玄関の飾りつけに!
こういう造作は男にはなかなかできません。お客さんにも大変喜んで頂きました!
最後にもう2件!
今年は遠方からの庭の依頼がありました。
横浜市、M邸。
可愛らしい白色の建物が印象的なお宅。
ここもかなりの住宅密集地。
周囲を住宅やコンクリート擁壁に囲まれ、敷地内は大きな四角い植木鉢のよう。
空気と水の停滞は草を暴れさせ、やぶ蚊も多く発生します。
ぐるっと敷地外周にコルゲート管を通し、水脈整備を行います。
市販のデッキも柱は半分腐りかけていました。
デッキを一旦移動して、デッキの下にも水脈を通します。
デッキ下をコンクリートで固めるよりも、この方が材木も長持ちし、何よりも下に風が抜けて心地よい!
既存の樹林帯は、風の剪定をして、程良く風が通る空間に。
剪定し、水脈を通す事で、やぶ蚊も減ったようです。
手強い草地だったスペース。
水脈を通し、ウッドフェンスを施工します。
水脈を守るように、木々を植栽。
動線は直線ではなく、蛇行させ、風の動きを緩やかに。
ということで、完成!
最後は、初の関西出張、大阪府堺市O邸。
雨が降れば水が溜り、
乾燥すると、カチカチの固い土に。
関西独特の真砂土の土壌に、粘土が混じる。
造成し、固く転圧された土壌は、水はけは悪く、生き物の気配もありません。
お施主さんは、地元の造園業者に色々と相談しましたが、「全部土を入れ替えないと植栽は無理!」と言われたそう。
ということで、片道550kmの大阪まで庭づくりに行く事に!
土の中を掘って見ると、出るわ出るわ、
グレー色をしたグライ土壌がたくさん出てきました!
これはもう土中に空気が通っていない証拠。
他の現場同様に、敷地内に透水管を通します。
コルゲート管を通した後は、炭や枝葉を組み込んでいきます。
水脈の最終地点は、この敷地内で一番低い角地に設定。
道路の側溝まで水脈をつなげたいところでしたが、あまりのコンクリートの厚さに断念し、
角地に大きな点穴を開け、市販の浸透桝で仕上げます。
遠方での工事でしたので、2~3か月と時間がかかりましたが、何とか無事に完成しました!
アプローチは、木々のトンネル。
駐輪場と、固まる土の園路。
外構の造作物は、お施主様のリクエストで白色に統一しました。
水脈資材は地元大阪の方に資材を提供していただきましたが、植栽樹木は弊社圃場からすべて搬入。
真夏の工事で、樹木も多少痛みましたが、手強い関西の土壌にたくさんの木々が植えられました。
今後も月日を掛けながら良い空間にしていければと思います。
ということで、昨日の現場、群馬県伊勢崎市。
現代の空気と水の停滞する住宅環境では、土中の環境改善は不可欠です。
ブログでは書ききれませんが、どこの現場でも土中の水脈整備は必ず行っています。
どんな過酷な環境下でも、木を植えて元気に育てたい!
今後も今年作庭した庭の経過を観察しながら、そんなノウハウを蓄積していきたいと思います。
まだまだ今年も木を植えます、植木の手入れもお待たせしております。
年内も全力で駆け抜けたいと思います。
無事に年を越せますように・・・