年初めの関西旅行 | 中央園芸のブログ

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(株)中央園芸の庭づくりの様子や、日々の出来事

新年明けましておめでとうございます、押田です。

2017年、年明け早々、連休を利用して関西へ旅行に行きました。

 

1月6日の夜に新宿を出発、1月9日の朝に東京に戻るという強行スケジュールでした。、

また、関西への往復は高速バスを利用したので、1泊3日の弾丸ツアーとなりました。

 

6日夜、新宿から高速バスに乗り、一気に関西へ。

 

 

僕自身、久しぶりの高速バスに乗りましたが、満員の車内では、ほとんど眠れず・・・。

ヘロヘロの状態で1月7日の早朝6時半には京都に到着しました。

 

 

久しぶりの京都です。

一般的な寺社の見学は開館時間が9時くらい。

早朝でも見学できるところを探し、あの有名な赤い鳥居を見に、伏見稲荷大社へ向かいました。

 

 

眠さと共に、寒い寒い早朝の伏見稲荷の鳥居の中をふらふらと散歩しました。

山の上までのハイキングコースもありましたが、1時間が限度・・・。

 

 

 

 

 

今回は私を含め3人(社員2人)の旅行。

「温かいものが食べたいね・・・」

ということで、

京都駅からほど近くにある、朝から開店している老舗ラーメン屋さん、「新福菜館」へ。

 

 

 

以前からここのラーメンは好きでしたが、温かいラーメンを食べ、熱燗を飲み!

ようやく体が温まりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで何とか時間をつぶし、9時を過ぎました。

 

 

次に向かったのは、無鄰菴(むりんあん)。

かねてから訪れてみたかった場所です。

 

 

山縣有朋の別邸、七代目小川治兵衛の作。

庭園に水を引き、芝生を取り入れた、明治時代の名庭です。

 

 

 

 

 

このころようやく陽もあがり、暖かい日差しが庭園内に降り注ぎます。

真冬なのに青々とした苔や常緑の木々がとても鮮やかでした。

 

 

 

 

 

室内からの眺め。

芝生地の緩やかな起伏がとても美しい景色でした。

春から夏にかけては、芝生の中から野草が出てくるとのこと。

想像しただけで、ワクワクします。

 

 

 

園路。

砂利を敷いていますが、よく見ると真ん中が高く、両脇が低い、

いわゆる「かまぼこ型」になっていました。

水はけへの配慮だと思いました。

 

 

 

 

 

 

琵琶湖疎水を引き入れた小川。

浅瀬にある、沢渡り石(飛び石)を伝い、対岸に歩いて行けます。

 

 

今は真冬ですが、夏は涼しく、本当に気持ちいいだろうなぁと思います。

 

 

地形を生かし、建物と庭とが見事に調和する様は、

現代においても理想的な庭のように感じました。

 

 

 

 

多少傷んでいる木々もありましたが、サラサラと水の音が響く庭園はとても居心地が良い。

また、水と共に流れる穏やかな風は、優しくも凛とした空気感を感じました。

 

また、青葉の季節に訪れたい場所、「無鄰菴」でした。

また、来よう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今回の旅の目的は、街路樹サミットin大阪でした。

 

昨年の1月同時期に東京都立川市の昭和記念公園で開催されたのが、

記念すべき第1回目の街路樹サミット。

 

この時は、定員が100名に対し、140名ほどが全国から集まりました。

 

 

 

 

 

 

そして、第2回の街路樹サミットin大阪。

 

 

1月7日の昼過ぎ、大阪府茨木市の立命館大学いばらきキャンパスにて、

第2回の街路樹サミットが開催されました。

 

250名の定員に対し、会場は満員!

今回は、なんと296名(スタッフ含む)の方々が参加されたようでした。

 

 

パネルディスカッションの様子。

前回のサミットでも講演された、秋田県能代市の造園家、福岡徹さんや、

大地の再生講座の矢野智徳さんも登壇されました。

 

 

 

 

今回の街路樹サミットin大阪。

 

大まかに内容を説明すると・・・

 

都会の中での街路樹の役割というのは、極めて大きい。

それは、ぶつ切りの無残なものでなく、伸び伸びとした、自然樹形が望ましい。

(当たり前ですが・・)

 

現在は、全国各地で痛々しい街路樹ばかりであるが、改善の仕方はいくらでもある。

 

市民でもできることは、「声をあげること」。

「もっと街路樹は、伸び伸びと枝を伸ばしてあげたい!」

そんな声が増えてくれば、行政も市民の声を無視することはできない。

 

また、街路樹の苦情の大部分である落ち葉はごみではなく、堆肥としても再利用できます。

富山では、「落ち葉感謝祭」という落ち葉掃除のイベントもすでに定着している。

 

 

 

 

 

そして、街中に街路樹があることで、野鳥が集まり、生態系も豊かになるという報告もありました。(京都府立大学大学院准教授 福井亘さん)

 

 

また、樹種も同じ種類を連続して植えるよりは、高木、中木、低木、下草と、在来の森の樹種を手本に木々を植えることで、森の中のような環境が街中にも生まれる。

 

 

 

また、杜の園芸、矢野智徳さんの大地の再生の視点で街路樹を考えると・・・

 

 

街中から植物や木々を排除することは、「砂漠化」を意味する。

つまり、生き物が生きられない、人が住めない環境になるということ。

 

また、昨今の異常気象や土砂災害、洪水は植物によって保たれていた自然のバランスが崩れてしまったことである。

 

しかしながら、隙間なくビルが建ち並ぶ現代の都市の中で、空気と水の循環を復活させるには、道路を利用するしかない。

街路樹を含め、道路沿いに水脈を通すことで、街中の環境は劇的に変わる。

 

そんな新しい道路づくりを土木、建設、造園など、様々な業種の人が工夫して考えていく必要がある。

 

 

細かい内容については、今回の主催者である、「あまがえる」木下さんの管理する「まち杜の環」HPにて、今後報告されることと思いますので、是非チェックしてみて下さい。

 

まち杜の環

http://machimorinowa.org/ 

 

 最後に、こんな街路樹があったらいいな!

 

 来場者による理想の街路樹のスケッチ。 面白い企画ですね。

 

ほとんどの方が、森の中のような街路樹を理想としていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夜明け、滋賀県東近江市の徳昌寺というお寺。

 

今回、矢野さんもせっかく関西に来たという事で、大地の再生講座in徳昌寺が急遽行われました。

 

今回の街路樹サミットin大阪の実行委員のほとんどは大地の再生関西支部のメンバー。

他にも、僕を含め大地の再生講座での仲間が全国から集まりました。

 

 

そんなメンバーに矢野さんも植栽管理の仕方をレクチャー。

風の草刈りを自ら実演します。

 

 

 

 

 

数年前、鬱蒼としていた境内は、木々が次々に枯れ、竹林も暴れていたといいます。

時間をかけて何度も講座を開き、縦穴や溝を掘り、水脈、気脈を改善。

 

 

 

今では竹林も木々も穏やかな成長を見せています。

小雨の降る中、そんな管理の仕方の講座となりました。

 

 

 

 

昼食風景。

 

体が温まる根菜類を中心とした料理。

講座での食事はどこに行っても、本当においしい。

 

冷えた体が喜ぶ、束の間の昼食でした。

 

午後は本降りの雨となりました。

僕も雨具や長靴、腰道具など一切用意していませんでしたが、参加された方々に貸していただき、何とか講座に参加することができました。

本当にありがとうございました。

 

 

 

 

さて、関西から戻り、今年も仕事が始まりました。

 

最初は、昨年やり残した植木の手入れの仕事に回ります。

 

 

仕事に行く途中、無残にも強剪定されてしまった木々が、どうしても目に留まります。

樹木の墓場のような風景・・・。

 

「このくらい切っておけば、しばらく放任できるだろう」という考えでの姿なのでしょうか・・・。

 

 

 

 

少し離れると、まだ手付かずの樹林帯がありました。

 

 

植栽した木々と、実生の木々が入り交じる樹林帯です。

 

都市の中でも、こんな樹林帯(街路樹)があれば水脈も確保できるかもしれません。

 

これを管理するには、無理して強剪定する必要はありません。

樹林帯の内部に心地よい風が吹き抜けるように、木々を間引き、風の剪定をしてあげれば十分。

 

自然の摂理に沿った切り方をすることで、木々の成長は穏やかになり、生き物の住処も確保できる、しかも仕事量も楽になる!

これこそが、自然と人間との共存だと思います。

 

 

 

 

 

また、一見豊かに見える自然や木々も、都市化や空気と水の流れの停滞により、

木々はどんどん衰えていきます。

これは、一般の方にはわかりにくそうな、難しい問題に見えますが、実はそうでもありません。

 

それは、単純に「心地よい」か「心地よくないか」。

何か息苦しい、空気が淀んでいる、水が停滞している・・・

 

人が心地良いと感じる環境は、空気と水の流れも良いということ、

実は単純なことなんです。

神経を研ぎ澄まし、その場の空気感を感じればいい。

人の五感というのは、なかなか優れたものです。

 

 

 

 

これは、2016年夏の写真ですが、長野県の山の中。

無残にも、赤松が枯れる山林。

山の中でも空気と水の流れが滞り、異変が起きています。

 

 

 

残念ながら山林でも、街中でも「砂漠化」がどんどん進んでいます。

 

 

 

 

 

 

 

話しは戻りますが・・・

1年で最も寒い、大寒の頃の埼玉ですが、

植木の手入れの途中、

ほのかに香る白い梅の花に心癒されます。

 

 

 

こんな寒い季節でも、植物は花を咲かせ、我々に季節の移ろいを感じさせてくれます。

 

黄色い実のセンリョウ。

 

 

大きく膨らんだツバキのつぼみ。

 

 

 

 

 

昨年の大地の再生講座や先日の街路樹サミット。

街中の街路樹も里山も奥山も、自然はSOSのサインを出しています。

 

僕もそれに気づいてしまった以上、多くの方にこの現実を知ってもらいたい、

そして、その再生の仕方も覚えていただき、実践してほしい。

そんな風に思います。

 

 

 

 

 

1月8日、徳昌寺での集合写真。

関西でのこの仲間たちにも今回は大いに刺激を受けました。

僕は、手前から2列目、左から3番目です。

(*この時矢野さんは、茨木市内のコンビニに忘れ物をしたらしく、

ひとりで取りに行ってましたので、入っていません・・・)

 

冬の冷たい雨にも負けず、大地の再生の手法を学ぶ、全国の精鋭達!

関東甲信越から、東海、関西、中国、九州とよく集まりました。

 

それぞれの地元に戻れば、それぞれの現場で大地の再生を実践していきます。

 

杜の園芸 矢野智徳さんは昨年、休も間もなく全国を駆け巡りました。

そして、そのバトンを我々は繋いでいかなければなりません。

 

 

 

 

 

中央園芸 圃場の梅も美しく咲きました。

 

2017年、中央園芸は、新たなスタートを切ります。

昨年11月に行った大地の再生講座in中央園芸から続く、

定期的な学びの場を作っていきます!

初回は2月頃の予定。

 

詳細は後日また報告いたします。

そんな決意を新たにした、2017年初頭の関西旅行でした・・・。