機能的な「流れ」をつくる | 中央園芸のブログ

中央園芸のブログ

(株)中央園芸の庭づくりの様子や、日々の出来事

こんばんは、押田です。暑い日が続きます。

 

庭づくりをする中で、庭の中に「流れ」をつくることがたまにあります。

流れとは、小川の事です。

 

ここは、昨年施工した庭の中の流れです。

近くで湧き出る水を引き、庭の中に流れをつくりました。

 

 

 

 別の角度から。

 

写真を、見ているだけで多少涼しくなりますでしょうか。

 

連日の暑さ、残暑お見舞い 申し上げます

 

 

 

 

 

 さて、今年の5月の庭づくりの事、東松山市K宅。

設計段階ではなかったのですが、庭の中に小さな流れをつくることになりました。

 

庭の構成は、芝生と雑木の庭です。

 

まずデッキの前に大きな木立群を作ろうと、重機で穴を掘り始めました。

 

 

すると1mくらい掘ったところで粘土が出てきました!

 

 粘土と混じり、グレーの色をしている土も出てきました。

 酸欠し、腐っている土、グライ土壌です。

 これは、水脈の詰っている証拠。

 

お庭が道路やコンクリートの擁壁やブロックに挟まれ、

庭にたまった水の抜け道がないことが原因です。

(*後日、庭の中から、敷地外に抜ける水脈をとり、ここの水脈改善は行いました。)

 

水脈改善のやり方を学びたい方は、FBページ「大地の再生 全国結の杜づくり」で検索してください。全国各地で矢野智徳さんが講座を開催しています。

https://www.facebook.com/daichisaisei/?ref=page_internal

 

 

木を植える都合、粘土が出るのはあまり歓迎すべきことではありません。

でもこれは庭づくりをやっていればよくあることです。

 

今は、水脈、気脈の考え方を知ってきたので、この粘土をそっくり掘って運び出し、

別の良質土に入れ替えるというというようなことはやりません。

 

地面から粘土の層まで1mほどあったので、その間に木を植えて、粘土は無理に掘り出しません。

縦穴(点穴)を開けながら、徐々に改善していく方法をとることにしました。

このグライ土壌も粘土も空気に触れると、

次第に団粒化した土(良質土)に変わっていきます

 

 

水脈の話はさておき、

お客さんと話をする中で、この粘土を利用し、「流れ」を作ってみよう!

ということになりました。

 

「あるものは使ってみよう!」

現場での状況とお客さんとの話の「流れ」での決断でした・・・。

 

まずは植栽をします。

デッキを木陰にする大きなコナラからの植栽作業。

 

 

コナラ、アオダモ、アオハダ、三つ葉ツツジ、ナツハゼ・・・

いつものように雑木類を植えていきます。

 

 

大きな木立群の間。

デッキから芝生の前庭へと続く小道をつくります。

 

そして、一体どこから流れをつくるか?

いろいろと考えました。

 

そして今回は、粘土を使い、

「水くれを兼ねた流れ」に挑戦してみました。

 

 

植えられた木々の谷筋に道をつくり、石を置き、小さな流れをつくる。

 

 

木々の間を通り抜けるように、流れの道筋を決めていきます。

 

粘土は、完全に水を遮断していません。

粘土もよく見ると、多少の砂利が混じっていて、粘土の下にも水は浸透していきます。

水がゆっくりと流れながら、樹木の水くれにもなる、というイメージ。

 

 

 

 

水道の水を引き、石の上から水を落とし、そこを起点として、2方向へと流れる仕組み。

水を流しながら、傾斜や道筋を確かめ、水のくれたい所に少し穴を開けたり。

 

流れの骨格が整えば、下草を植えます。

水辺に合う、アジサイやセキショウなどを植えると、流れの雰囲気が出てきました。

 

焼き板の橋をかけ、流れを渡れるように!

 

橋の右側付近から水が落ち、そこを頂点に、2方向に水が流れ、最後は水脈に落ちていく、という仕組みです。

 

 

そして、表土に落ち葉を敷き詰め、完成!

 

 

いつものデッキ前の雑木の木立群ですが、粘土が出たことにより、即興でしたが「流れ」をつくることになりました。

 

どうせ水をくれるなら・・・  見ていても楽しい方がいいですね!

 

 

浄化槽の工事で出た残土も庭に使わせてもらい、庭の中に起伏をたくさんつくってあります。

 

 

ちなみに、芝生の庭には、小さな菜園落ち葉ストックブランコ。

そして、起伏を利用してコンクリートのすべり台(新作です!)をつくりました。

 

2か月も前になりますが、6月下旬に完成した東松山市、K宅の庭でした。

 

 

まだ、もう一件あります。ブログは続きます。

長野県上田市に本社のある、アトリエDEFさんのモデルハウス。

群馬県前橋市の赤城山麓にある関東営業所での新規植栽工事。

 

2階の屋根の煙突付近から地上付近まで、グレーのパイプが見えると思います。

これは、雨水を集め、敷地外に排水するという、雨水の排水パイプです。

 

 

 

土の中には、こういった排水パイプや水道管、電気の線やガス管などいろいろなものが埋められています。

特に建物の近くは、いろんな配管がたくさんあります。

 

植栽をする前に、まずは土壌改善を行いますが、建物周りは配管を壊す恐れがあるので、重機を使わずに、人力で土壌改良を行いました。

その時に、この雨水排水パイプの存在に気が付きました。

 

2階から降りてきた排水パイプは、そのまま土の中を通り、敷地外へ流すというものでした。

 

「これは、もったいない!」

 

せっかくなので、このパイプを途中で切って、排水し、庭の中で流してみたらどうか?

ということになりました。

 

見せる雨水の排水です。

 

 

「予算内でやります!」

現場の責任者に相談し、即決、即作業です。

 

石を支えているS君の右足のところにあるのが、排水パイプです。

これが、敷地外まで伸びていたのですが、ここでパイプを切りました。

 

屋根からの水がここに集まり、ここから流れをつくります。

 

重機の影から現場責任者である関東営業所K所長が不安そうに見つめています・・・。

 

ここは、群馬県前橋市ですが、赤城山の山麓。

地元の石材を使おう、ということで近隣から赤城の石を仕入れ、「流れ」をつくります。

 

 

自然の小川を見ると、基本的に川の水は石にぶつかり、流れの方向が変わります。

 

流れを施工するときは逆に、水の方向を変えたいところに石を置き、蛇行させ、また石を置き、方向を変える、そんなやり方で施工しています。

 

 

「予算内でやります!」

と宣言してしまったためもありましたが、

驚異的なスピードで石を配置し、流れの道筋を決めていきました。

 

植栽の様子も紹介します。

 

ここはモデルハウスなので、建物を広く見せたいということで、

建物の前の植栽は少なめにということになり、木立(こだち)はひとつだけつくることに。

 

 

デッキの前はやっぱり、コナラを植えます。

 

 

なかなか大きなコナラでした。

 

「枝を上げて・・・。一旦下ろして、車をゆっくり進めて・・・」

など僕は指揮をとっていましたが、

頭の中は、造園連で毎年行っている、伊勢神宮の奉納行事を思い出しました・・・。

 

これは昨年の2月の伊勢神宮での様子です。(仕事内容とはあまり関係ありませんが・・)

 

さて、建物内から、位置を確認。

雨の中少々苦戦しましたが

何とか、無事にコナラを植えることができました。

 

そして流れ付近。

 

続けて雑木類を植え込みます。

小道をつくり、歩いて回れるようにしました。

 

 

エントランス付近もポイントを絞り、植栽をしていきます。

 

 

 いつも通り、水脈もやりました。

 敷地内から外に抜ける水脈。 芝生との縁切りも兼ねています。

 水脈ラインは緩やかに蛇行させます。

 

また、水脈の材料はすべて現場で出たものを使っています。

 

 

 

 

そして、前庭は芝生を張って、完成です!

コナラとアオダモ、ドウダンツツジ、ヒサカキの木立(こだち)。

 

 

薪小屋前の景色も完成。大谷石の古材と玉石。

植栽は、コハウチワカエデとヒサカキ。

既存のケヤキが大きな木陰をつくる北側の庭です。

 

 

 

ちなみに室内から施工前の写真。

 

 

施工後。

薪ストーブがある、土間の空間、室内からの景色。

 

北側の庭に木を植えて木陰をつくることで、涼しい風が南側に抜けていきます。

夏涼しい家をつくるときに大事なことは、大きく風の抜ける間取りと北側に木陰をつくり、クールスポットをつくること。

 

昔の家屋はそんなつくりだったと思います。

 

 

エントランス付近、全景、完成です。

園路は山砂を敷いてあります。

 

このモデルハウスは「えんの家」といいます。

アトリエDEFの家は国産材や土壁などを使い、とても自然素材にこだわった家づくりを行っています。

アトリエDEFのHP↓

 

http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiRte-k_czOAhVKnZQKHQ0SDQ4QFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fa-def.com%2F&usg=AFQjCNHqdeUc6h3A4IJMMxgu6WnYOBPOow&sig2=Bp8Tdhl5HrWZXvCVKvH-BQ

 

えんの家に対抗し、この庭は、「えんの庭」ということにしました。

 

玄関横の赤城山の丸い石の

園路を歩いて楽しめる 

芝生の庭、木々の下でみんなが集う 

「自然素材の家」と雑木の庭が繋がる 

 

 

 

 

必死に考えました・・・

 

さて問題の「流れ」はというと、

丸い石の後ろ、焼き板の橋の左付近から、流れが始まります。

 

とても狭い流れですが、中流付近。

赤城の石とここから出た玉石。

 

 

下流付近。

橋を渡って戻れます。

 

実は、この敷地内の土壌の中からたくさんのコンクリートガラが出ました。

これを全部持ち帰って処分しても仕方ありません。

 

 できるだけ現場で出たものは現場で処理する。

 

土留めの玉石と混ぜて、見えないところにコンクリガラも土留めの一部として使ってあります。

「現代の流れ」、です。(写真は撮り忘れました・・・)

 

 

流れた水は、木柵の真ん中付近、玉石が見えるところから、敷地外に流れ落ちます。

雨が降った時にのみに現れる、「幻の滝」といったところでしょうか。

 

 

7月上旬、まだアジサイの咲く頃、完成しました。

 

 

 

そして、8月6日(土)。1か月ぶりの、アトリエDEF、関東営業所。

標高も平地よりは高く、ナツハゼの葉が早くも赤く色づき始めていました。

この日、施工業者を集めての完成記念・暑気払いがありました。

 

芝生もしっかりと根付き、青々としていました。

 

木々の下、芝生の広場でのでの宴(えん)となりました・・・。

 

こちらの庭は、見学可能です。

ここから車で20分ほど登ると、赤城山山頂の大沼に到着します。

付近は標高1300mほど。前橋市内より、6~7度は涼しいと思います。

赤城山へのドライブと合わせ、是非お立ちよりください。

 

アトリエDEF 関東営業所

群馬県前橋市富士見町偕沢359

TEL 027-289-5358  

 

 

いつも長いブログにお付き合いいただきありがとうございます。

 まだまだ暑い夏は続きそうです。お体に気を付けてお過ごしください。