これからだんだん暑くなって、さぁ、今年の夏はどれだけ暑くなるのやら? という時期ですが、寒いお話です。
演歌の世界....
なぜか「北」
暖かい南の島へ逃避行するとか、そんな例はあまり演歌においてはありませんね。
世間を捨ててさすらいの旅に出る男、惚れた男を追って雪の舞う町をさまよい歩く女、どっちも居場所は「北」
演歌の世界では南国は絵にならないのです。
♪ 名もない港に 桃の花は咲けど
♪ 旅の町には やすらぎはないさ
♪ お前と別れた むなしさ抱いて
♪ 俺は明日もまた 北へ流れる
♪ お前の優しさ 酒に浮かべひとり
♪ 遠い霧笛に あの夜を探す
♪ 愛していりゃこそ つれなくしたが
♪ 今もこの胸で 揺れる微笑み
♪ 男は振り向き 暗い空を見上げ
♪ つけた煙草に ふるさとを想う
♪ 真冬の浜辺に 傷あと埋め
♪ 夢はあきらめて 北へ流れる
(小林旭「北へ」 作詞:石坂まさを / 作曲:叶弦大)
なぜ「北」?
この漢字の元ネタは、人が背中合わせに座っている図、だそうで、背を向けるという意味があるとか?
北を向くと太陽に背を向ける形になります。
負ける事を「敗北」と言いますが、これもなぜか「北」
そして演歌の登場人物、男は女々しい・旅に出る(逃げる)・過去ばかり振り向く。
女はひたすら耐える。
男が女を呼ぶ時は必ず、「おまえ」
「君」だとフォークソングになってしまいますからね。
さらに、
演歌の世界観は、ことごとく寒いのです。
海は必ず日本海、季節は冬で時間は夜。
♪ 上野発の夜行列車 下りた時から
♪ 青森駅は雪の中
石川さゆりが歌った「津軽海峡冬景色」
♪ 北へ向かう人の群れは誰も無口で
ここのフレーズがすごい!
この1フレーズだけで寒さ倍増です。
阿久悠って天才!
でも現実には、
逃避行する男女は南国へ行くんですね。
フィリピンとか。