「月の砂漠」ジャズバージョン。 | 5番の日記~日々好日編~

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気の向いた時に気の向いた事を勝手に書いています。
よってテーマは剛柔バラバラです。



イラストレーターの和田誠氏の監督作品。

ポスターのデザインも、もちろん和田氏が手掛けています。


『真夜中まで』(2001年)

監督:和田誠

脚本:和田誠、長谷川隆

出演:真田広之、ミッシェル・リー



主人公は真田広之演じるジャズ・トランペッター。

クラブで演奏していますが、憧れのジャズマンが今宵、ニューヨークからわざわざステージを聴きに来てくれる事になっており、気分が高揚しています。

プライドの高い彼は、観客から「月の砂漠」をリクエストされても、「それはジャズじゃない」と一蹴。


とにかく次のステージが全て。認められれば念願のニューヨークでのデビューも夢ではないのです。




そんな時、殺人現場を目撃してしまった香港人ホステスのミッシェル・リーが「助けて!」と楽屋に飛び込んで来ました。



ここじゃなくて警察に行けよ! と言っても、彼女は不法滞在の身、それはできない。

しかも殺人犯人は刑事で、殺されたのは彼女の恋人。クラブのオーナーと刑事が癒着している事を知った為に殺されてしまった....


ミッシェル・リーは、恋人が掴んだ証拠を探すのを手伝ってほしいと真田広之に訴えます。



いや、次のステージは午前0時スタート、今10時10分。あと1時間50分しかないから無理!



しかし、リーの口を封じようと追って来た刑事から、仲間だと思われて命を狙われるハメになる真田広之。

さらにクラブのオーナーまでが殺し屋を差し向けて

.....



逃げなしゃーない! でも絶対に0時には戻って来る!



この限定された設定が面白いのです。

ミッシェル・リーは、日本映画の逃げるヒロインのように足手まといになったり転んだりしません。

敢然と追手と闘う。


それでも、逃げる途中で死んだ恋人を思って「月の砂漠」を歌ったりします。



真田広之も、"商売道具" のトランペットを片時も離さず、マウスピースやミュートを使って敵と闘う(笑)



そしてようやくクラブに戻った時、すでに開演時間の午前0時を過ぎており、憧れのジャズマンは帰ってしまっていました。



もはや意味がないかもしれないステージに立った真田広之は、見事なジャズアレンジの「月の砂漠」を演奏します...




「ジャズじゃない」と観客からのリクエストを断った「月の砂漠」は、実は多くのジャズ・バージョンが存在します。


元々この曲は、大正12年に歌詞が書かれ、その後に曲が付けられた日本の曲です。



最初にジャズで演奏したのはリー・モーガン。

彼の当時の奥さんが日本人だったそうで、日本の曲をいくつもモーガンに聴かせていたとか。


「月の砂漠」はお気に召したんですね。