『胎児が密猟する時』 | 5番の日記~日々好日編~

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よってテーマは剛柔バラバラです。



男と女、マンションの廊下、台所。

これだけ。


『胎児が密猟する時』(1966年/若松プロダクション)

監督:若松孝二

脚本:大谷義明(足立正生)

出演:山谷初男、志摩みはる



先に言うときますけど、

変態犯罪映画です。


マンションの一室に若いお姉さんを監禁したブサイクな中年男が、お姉さんをいたぶって思うままにしようとしますが、やがて逆襲されて殺される...


登場人物は2人、話はこれだけ。




しかし、

『完全な飼育』のような普通の18禁エロではなく、全体的に暗い.....   タイトルバックで示される胎児のような外見の山谷初男のグロテスクさは、生への呪いのように見えます。


かつてのピンク映画は、低予算故に濡れ場シーンのみカラー撮影でその他はモノクロというパターンが多かったんですが、こちらはオールモノクロ。

そのモノクロ画面とマンション(団地と言った方が近い)の狭い廊下は母親の胎内?


生活臭に満ちた台所の効果的な使い方もリアル。





若松孝二という人は、60年代〜70年代にかけての全共闘・学生運動の熱かった時代に熱狂的に支持され、今も語り継がれる異端の監督ですが、監督作品だけで100本を超えています。



ピンク映画出身なのに観客を欲情させる作風ではなく、日本で最も血の匂いのする映画を作る人。