「驚異と怪異」展 | 5番の日記~日々好日編~

5番の日記~日々好日編~

気の向いた時に気の向いた事を勝手に書いています。
よってテーマは剛柔バラバラです。

2019111510120000.jpg


万博公園内の国立民族学博物館の特別展で、
『驚異と怪異 想像界の生きものたち』
が開催されております。


古今東西、人間は様々なあり得ない生きものを想像・創造してきました。
自然界で起きる不可解なもの、理解できない現象を説明する為に、知っている知識を駆使して神・悪魔・妖怪・怪物など、イメージを思い描いて具現化した結果、不思議な生きものを作り出したようです。


不思議な生きものの代表的なものが、東洋の龍、西洋のドラゴン。
世界共通、幻獣界のスーパースターです。

東西のこの2つ、微妙に違ってまして、西洋のドラゴンには羽根があって空を飛び、口から火を吹いたりムチャしよるんです。
キリスト教文化の影響で悪魔とみなされ、忌み嫌われる存在。
新訳聖書の黙示録にも大天使ミカエルのドラゴン退治があり、西欧の英雄は常にドラゴンと戦っています。

これに対して東洋の龍の方は羽根がありません。
でも、羽根がないのに天へ登ります。
で、決して不吉な存在ではなく、逆に神格化されていて、基本的に人間の敵ではありません。

干支にも「辰」がいますし。

2019111510130000.jpg


生きものだけでなく、こういう仮面もアジアを中心にたくさん作られました。

どう見ても人間には見えない…


でも、魔除けだったり縁起物だったり、必ず何か意味があります。



特別展の会場はそれほど広くなくて、見渡せるぐらいのスペース。
展示物をスケッチしてる若い人がすごく多いです。
欧州の美術館・博物館ではしょっちゅう見かける光景ですが、日本の展示会場でスケッチしてる人は珍しい。

美大生か、専門学校生か、それともゲームデザイナーみたいな人でしょうか?

皆さん、かなり真剣です。

2019111510130000.jpg


この特別展の目玉はコレ。
現物は撮影禁止ですので、これは公式ガイドから。
(何度も書いときますが、“引用して感想を述べる行為”は写真を貼ろうが絵を貼ろうが著作権侵害にはなりませんので一応。)

龍のミイラ、人魚のミイラ、そして河童のミイラ。
鬼の頭、烏天狗、さらに「ろくろ首」のミイラまであります。
すべて国産(笑)


2カ月ほど前に人魚の話をこのブログで書きましたが、このミイラはどれも創作品です。
例えば人魚のミイラは、サルの頭部と魚の胴体、そして竹や紙などを巧みに工作してホンマもんのように作られているオブジェ。

大阪市内の某寺に保存されているものだそうで、写真では知ってましたが、現物を間近で見たのは初めて。
ものすごく良くできてます。




わが国の先人たちの怪奇趣味の想像力は他国を圧倒していまして、こんなにたくさんの妖怪がいる国は世界中、どこにもありません。

水辺で遠くから聞こえて来る音は「小豆あらい」という妖怪だとしたり、自然現象を「かまいたち」、身体障害者(たぶん)は「一つ目小僧」

「風神雷神」もそうですね。


森羅万象、全てのものに命が宿っていると考えていた日本人、『百鬼夜行絵巻』には、鍋や釜、琵琶やタンスまでが化け物になった姿で描かれていて、そのバリエーションの豊富さには脱帽です。


19世紀に欧米で人魚のミイラが公開されて大センセーションを巻き起こしたという記録がありますが、これは江戸時代末期に日本に来ていたオランダ人が本国に「お土産」として買って帰ったものでした。

2019111510130000.jpg


この「国立民族学博物館」(略称:みんぱく)のレストランは、特別展がある時はいつもそれにちなんだメニューを出しています。

今回は「ドラゴンロール」(笑)



私、このみんぱくが大好きなんです。
中央口の太陽の塔前からだとかなり歩きますから人があまりいないのもいい。
(日本庭園前の駐車場からはすぐ目の前です)


特別展やってなくても常設展だけで十分楽しめます。
何回来ても飽きない。