【妄想Zone】「麒麟の子」① | ☆つっこのオモチャ箱☆

☆つっこのオモチャ箱☆

つっこの「元気のモト」:Sexy Zone(佐藤勝利くん多め)、エンタメ、ドラマ…などを詰め込んだブログ♪セクゾ小説も書いてます


Sexy Zoneのシングル『麒麟の子』を聴いた時に、頭に浮かんだ物語です。

 

 

*【妄想Zone】は、毎回読み切りの超短編小説です。


「もし、こんなドラマをセクゾのメンバーが演じたら?」なんて思いながら書いてます♪

 

(佐藤勝利くん多め)

 


*********


【麒麟の子】①



「マジか…」

勝利の話を聞き終わった健人は絶句した。

勝利は、青ざめた顔で頷いた。


ここ『麒麟館』は、親をなくした子供たちが共同生活をする寮だ。
 

 

優しい寮母に、設備が整った施設。そして、外の学校と同じ単位が取れる充実したカリキュラム。

全てが揃ったここでの生活に、疑問を抱く者など誰もいなかった。


今日までは…


~~~~~~~~~~~~
 

 

今日の午後、授業の途中に頭が痛くなった勝利は、先生に保健室に行きたいと申し出た。

すると先生は、保健室ではなく寮の自室に戻るよう勝利に指示した。


こういう時、『生徒のサボリ防止』のため、本来なら手の空いた先生が生徒に付き添う。

しかし、普段から優等生の勝利は、「一人でも平気か?」と確認されただけで、誰も付き添うことはなかった。


勝利は、日中にカリキュラムをこなす『スクール棟』から、日常生活を過ごす『ホーム棟』へ一人で戻った。


昼間の『ホーム棟』の中は、生徒が誰もいないので静まり返っている。

勝利のスリッパの音だけが、ペタンペタンと廊下に響いた。


ふと見ると、いつもは鍵が掛けられている寮母の部屋のドアが、少し開いている。


それは、ほんのイタズラ心だった…


勝利は、コッソリと部屋に入って、後ろから寮母さんを驚かそうと考えた。

息を殺し、ソッとドアを開ける。

しかし、部屋の中に寮母の姿はなかった。


拍子抜けした勝利が部屋を出ようとすると、つけっぱなしのパソコン画面が目に入った。

ショッピングサイトらしき画面に表示された商品を見て、勝利は固まった。
 

 


そこには、箱詰めされた人形のような勝利の写真が載っていた。

 

 



商品の詳細を見てみると、【大きさ】には勝利の身長が、そして【重さ】には勝利の体重が記されている。

そして、商品の【製造年月日】は、自分の生年月日と同じだ。


これはきっと、人形ではなく『生身の自分』が出品されていることを意味しているのだろう。

その証拠に、画面の中の自分には、おそろしくゼロの多い価格が設定されていた。

しかし、そんな高値にもかかわらず、既に『SOLD』の表示になっている。


勝利は、震える手で画面をスクロールした。

すると、寮の仲間も何人か『出品』されており、いずれも高値で買い手がついている。

勝利も含め、みな『出荷準備中』の状態だ。


購入者の中には、誰もが知るような芸能界の大物や、有名な起業家、さらには官僚の名前まである。

そして、信じたくはないが、全ての出品元は『麒麟館』 だ。


しかし、意思のある人間の売買なんて可能なのか?

その疑問は、《出荷のご案内》の中に書かれていた注意書によって解消された。


【商品は、《お客様に絶対服従なタイプへのプログラミング》を終えてからの出荷となります】


『プログラミング』とは、いったい何をするのか?

それを想像した勝利は、背筋が凍った。


~~~~~~~~~~~


「ヤバイな。何か手を打たないと…」

健人は、何かを考え込むようにじっと空(くう)を見つめた。


「…オレの話、信じてくれんの?」

勝利は、不安げに健人に尋ねた。


麒麟館では、生徒たちにスマホは支給されていない。

だから勝利には、見てきた事を記録として残す術はなかった。


「ばーか、当たり前だろ」

健人は、フッと鼻で笑った。


「とりあえず、この事実を外部に知らせるのが一番だと思う。でも、問題はどうやって外に出るかだな…」

健人の言葉に、勝利は頷いた。


『麒麟館』の生徒たちは、施設の外の世界を知らない。

養子縁組や就職が決まった者だけが、卒業前に『外での生活』を学ぶシステムだ。

だから、『麒麟館』の生徒たちは、誰も外に出ることが出来ない。


建物を取り囲んでいる高い塀は、『子供たちを守るためのセキュリティ』らしいが、今となっては脱獄防止の檻としか思えない。


健人と勝利が意見を出しあっていると、突然、ノックもなく部屋のドアが開いた。


「聞~ちゃった、聞~ちゃった。先生に言ってやろ♪」

節をつけて歌うように、隣の部屋の菊池風磨が入ってきた。


「……」

健人も勝利も、驚きで言葉を失った。

しかし、バタンとドアが閉まる音で、健人はハッと我にかえった。

 


「頼む、菊池!今の話、誰にも言わないでくれ」

「それは条件次第だ」

間髪を入れず、風磨が答えた。


「…条件って?」

おそるおそる勝利が尋ねると、風磨はニッと笑って言った。


「俺も仲間に入れること」

風磨のその言葉に、健人と勝利は顔を見合わせて笑顔で頷いた。


そして、誰からともなく手を出し合った3人は、互いの手を強く握りあった。


( ⇒ 「麒麟の子」②へ続く)

 



************


以上です。


この話は、『約束のネバーランド』というマンガの世界観に影響されて書きました( ̄▽ ̄)

 

そのマンガは、優しい「ママ」の元に育った子供たちがいる幸せな孤児院は、実は恐ろしい「鬼」の食用として子供を育てている「人間飼育場」だった。

 

真実を知った子供たちは、施設からの脱出を試みる…

 

 

という、結構ヘヴィーな内容なんだけど滝汗

 

 

さすがに食われちゃうのは怖いから、「人身売買」という設定にしてみました。

(それも十分怖いけど…(^^ゞ)

 

 

本当は、まだ(考えた話の)半分なんだけど、長くなったので〆ました。

 

気が向いたら、「続編」を書く…かも口笛

 

 

《追記》

 続きを書きました⇒「麒麟の子」②

 

 

 

 

★【妄想Zone】(物語)の一覧を貼るので、よかったら他の話も読んでみてください(^_-)-☆

 

(⇒テーマ【妄想Zone】の記事の一覧)