忠孝酒造(ちゅうこうしゅぞう)で見学案内を担当している井上です。
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清酒(日本酒)で使われる酵母、清酒酵母はアルコールを18%も作り出せます。
ちなみに、アルコールは消毒にも使われるように微生物にとっては毒です
酵母も例外ではなく、だいたい10%くらいで増えなくなり、20%もあるとほとんど死んでしまうといわれています。
にもかかわらず、清酒酵母は18%(ときにはそれ以上)のアルコールを作ることができます。
まさにスーパー酵母というわけです。
なぜ、清酒酵母はそんな高アルコールでも平気なのでしょうか
それは、清酒酵母がアルコールに強い(アルコール耐性がある)からです・・・
と、これまでは考えられていました。
ちょっと、前振りが長くなりましたけど今回はそんな「清酒のアルコール耐性」のお話をします。
このネタは7月5日の醸友会で仕入れたものです。
醸友会は泡盛製造者のための勉強会で、このネタはそのとき講演された酒類総合研究所の赤尾氏が話された内容の一部です。
▼醸友会のあとの懇親会での一コマ
さて、本題。
最近の研究で、清酒酵母はストレスににぶいということが分かりました。
酵母同士を比較するときよく使われる酵母に実験室酵母というのがいます。
この実験室酵母はあまりアルコールを作りません。
この二つの酵母をアルコール22%の中に放り込むと、どうなると思いますか
どちらが長生きでしょうか
清酒酵母はアルコールをたくさん作れる=アルコールに強い、というイメージがあるので清酒酵母の方が長いきな気がしませんか
こう書くと、結果は分かってしまうんですが・・・
実は実験室酵母の方が長生きなんです。
実験室酵母は、「あ、この環境、体に悪いわ~」と察知すると休眠して自分を守ります。
でも、清酒酵母は、「体に悪い」ということが分かりません。
にぶいんです。
ですので、体に悪い環境でも働こうとして、死んでしまうのです
▼酵母のコロニー
アルコールに弱いのにアルコールを多く作る
一見矛盾しているようですが、こういうことらしいです。
清酒酵母、実験室酵母ともにアルコールを作ります。
実験室酵母はある程度アルコールを作ると、そのことを感じてアルコールを作るのを止めてしまいます。
なので、あまりアルコールを作らないわけです。
清酒酵母は、アルコールを作りすぎたことが分かりません。
そのため、どんどんアルコールを作ってしまい、最後には自分も死んでしまうと・・・
そういうことなんです。
▼酵母のコロニー(拡大図)
例えは悪いかもしれませんが、酵母を羊と考えます。
羊がモグモグ草を食べています。
そこへ熊(=アルコール)がやってきます。
実験室酵母は危険を感じて身を隠しますが、清酒酵母はそれが分からず、いつまでも草を食べています。
で、に食べられてしまします(T_T)
自然界では清酒酵母のようなは生きていけません。
でも、人間に気に入られることで大切にされてきました。
まさに清酒酵母は「蝶よ花よ」と育てられた箱入り娘なのです。
泡盛酵母もアルコールをたくさん作ることができます。
これも清酒酵母と同じようににぶいからなのか、アルコールに強いからなのかは、まだ分かっていないようです。
また、分かり次第お知らせします。