想定外を想定する | 中国地方の大家の不動産賃貸業日誌

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最近木造軸組工法の耐震化の勉強を少ししています。
 
その一環で『なぜ新耐震住宅は倒れたか』という本を読みました。
 
熊本地震を住宅建築の視点から検証している内容です。
 
写真や図がカラーでたくさんあって非常に読みやすいしわかりやすい。
 
 
 
1981年より前の建築基準法を「旧耐震」、
 
それ以降を「新耐震」と呼んでいて、
 
さらに2000年に「基礎」「柱梁や筋交いの接合部」「壁のバランス」に関する告示が示されていて、本の中では「2000年基準」と呼んでいます。
 
 
しかし熊本地震では、木造の新耐震の住宅で73棟、2000年基準の住宅でも7棟が倒壊しています。
 
「大破」を含めるともっと多くなるようです。
 
それにしても
 
「基礎」
「柱梁や筋交いの接合部」
「壁のバランス」
 
という基準をクリアしたはずの2000年基準の住宅がなぜ倒壊したのか?
 
ということの検証をしていくわけなのですが、
 
「〇〇だから!」という明確な理由というのは、地震においてはなかなかはっきり原因を示すのが難しいようです。
 
 
 
・まず1つの原因としては地盤の問題があるようです。
 軟弱な地盤ゆえ、揺れが増幅されたという説。
 
 
・1つは直下率が低かったのではないかという説。
 直下率は上下でつながっている柱や耐力壁の割合です。
 1階と2階で全く同じ間取りであれば直下率は高くなりますが、
 例えば開放的で広いリビングを設けたり、上下で全く違った間取りにした 
 場合等は直下率が低くなり、耐震性が低くなるようです。
 
 

で、どうすれば耐震性がアップするのかということなのですが、

 

上記の直下率に付随して、建物の揺れに対する強度を上げるためには、

 

 

・直下率を上げて

・構造用合板を耐力壁として使い、バランスよく配置して

・重心と剛心(建物の一番強い部分)を近づける

 

 

ということになろうかと思います。

 

あとは、主に柱の接合に使う金物に関する施工不良やらがかなり多いみたいですね。

 

 

・金物の施工不良に注意する

 

 

この金物については知識がないと見てもわからないような気がします。

 

現場の検査で発見するしかないので、その辺はどうやって担保するのか。

 

ホームインスペクションを頼むのか。

 

 

 

 

熊本地震ではアパートの倒壊も記憶に強く残っていますね。

 

後の調査では、3棟のアパートが倒壊して、3棟とも

 

 

接合部の金物をクギ打ち程度のもので軽微に接合していて、

かつ

耐力壁のバランスが悪かった。

 

 

ということなのです。

 

しかしこれらは木造軸組工法の話なので、

 

2×4とか、軽量鉄骨とか、そういうところの検証はありませんし、

 

耐震化というところでいうと、一番頑張って考えないといけないのが、

 

木造軸組工法ということなのかな、と。

 

なかなか難しい話です。

 

 

 

熊本地震では前震と本震と余震がありましたが、

 

前震の段階では倒壊していなかった建物が、

 

本震で倒壊する事例がいくつかあったようです。

 

1回ではなく、複数回で来る地震にも耐えられるのか。

 

そういう想定が必要な時代です。

 

洪水についても同じですよね。

 

過去経験したことのない、統計上は想定できない雨量を想定しないといけない。

 

津波もそうでした。

 

十何メートルもある高さの津波を想定できたのかわからないけど、

 

想定しないといけない。

 

 

 

想定外を想定する、そういう時代なのでしょう。