今回は、どこの大学を出たかという「学歴」の価値は、地域によって激しく違ってくるという話。
私は千葉大学教育学部卒業です。
この「学歴」の価値は、地域によって激しく違ってきます。
■都内ではタダの人■
東京都内には、有名大学が多数あります。
東大や早稲田をはじめとして、偏差値の高い大学の学生が、大勢いるのです。
千葉県内の船橋市や松戸市では、我が千葉大学は、一応は名が知れた大学でしたが、江戸川を渡って都内に入れば、特別扱いされるわけでもない学歴でした。
ですから「江戸川渡ればタダの人」と一部では言われていました。
私は学生の頃から学習塾業界にいましたが、学習塾の業界で働く先生は学歴がスゴイ人が多いのです。
司法試験浪人はじめ「夢破れた高学歴者」が多数教えていた時代です。
さすがに東大卒は珍しかったものの、早稲田大卒は当たり前でした。
ですから千葉大学教育学部卒は、特に名門と感じたことはありません。
■銚子や館山では神様扱い!?
ところが、銚子・館山・鴨川など房総半島の先では、千葉大学教育学部卒は非常に価値がありました。
千葉市・船橋市・松戸市周辺の感覚では、全く理解しにくい世界でした。(私が学生だった35年前の話です)
ゼミやサークルの合宿を銚子や館山で行うと、宿の主人から熱烈歓迎されました。
「地元国立大だから親近感を感じている」くらいに思っていましたが、あとから事情が納得できました。
地域の県立トップ校からは、早稲田大学など都内の難関私大に進む選択肢を持たない家庭が多いのです。
もし早稲田大学(新宿区)に進むとなると、地元から通える距離ではありませんから、都内に部屋を借ります。
(館山・銚子・鴨川からだと千葉駅まででも片道2時間近くかかり、都内だと3時間以上かかる)
生活費と私立大の授業料も含めると、親は1か月15万~20万円、負担する必要があります。
これだけの費用を出せる家庭は、かなりの少数派です。
更に大金持ちの家庭でも、地主のような名門の家柄ですと、別の問題があります。
早稲田大学に進んだ時点で、大学卒業後に地元に戻ってくる可能性は低くなります。房総半島の先で、大学で学んだ専門知識を活かせる仕事は、なかなか見つけにくいためです。
その点、千葉大学教育学部だと、
◎自宅から何とか通える国立ですから、経済的負担が少ない。
◎先生になって地元に戻れる。家を継いでもらいやすい。
そのため、銚子・館山・鴨川周辺の「本気になれば東大も狙えるかもしれない」優秀な学生でも、余裕をもって千葉大学教育学部に入ってくる人が一定数いたわけです。
(ちなみに、銚子・館山・鴨川周辺の学生は、近所の人たちから「●●くんは来年卒業して先生になるのね」などと思われていて、すごいプレッシャーに感じることがあったそうです。単位落として留年とか、教員採用試験を不合格になる悪夢を極端に恐れて、すごく頑張っていました)
こんなわけで、銚子・館山・鴨川周辺の人たちは、地元の優秀な生徒が進む千葉大学教育学部が、すごい存在と感じてもらえたのです。
そして、ありがたいことに民宿のおばちゃんにウケが良くて、同じ料金で夕食のおかずが2品増えたりしたのです(^^♪。
勢いで、関連して別の話を付け加えます。
■都市部は受験に有利
東京など都市部は、受験に有利と言われます。
その理由として、
《1》中学受験が盛んで早期から受験勉強がスタートしやすい
《2》中高一貫校が多く、効率よく鍛えられる。
《3》塾や予備校の選択肢が多い。目的に合ったところに通える。
以上は、よく知られていると思います。
でも、案外言われてないのが、こちらです
《4》自宅から通える学校が非常に多い
選択肢が多いから、さらに上の難関校を目指して頑張るのです、
これは高校受験でも大学受験でも同じです。
地方の高校受験なら、トップの県立高校が偏差値64くらいの地域があります。すでに70前後の高校受験生は、必死に勉強しなくても余裕で受かります。クラスの中で旧帝大を受ける人は5人ほどでしょうから、都内の都立トップ校と比べて同級生から受ける刺激は少ないでしょう。
地方在住者の大学受験なら、遠方の難関私立大を受けられる人は、お金等の面でさほど多くありません。地元から通える大学となると、偏差値的には妥協することになります。「あと偏差値5くらい高い大学でも合格できたんだけどなあ」と思う人も多いのでは?
都心まで1時間とか1時間半で通える範囲に住む受験生は、恵まれているなと改めて感じる次第です。
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【参考】今までの記事をご紹介します
→私は中学受験算数&理科のプロ家庭教師をしています。
リモート指導は可能な日時は複数ありますが、対面指導はあと1軒が限度になりそうです。