ゴールデンウイークを過ぎても、新型コロナの影響で、多くの小学校が休校しています。
中学受験塾も、教室での指導は大きく減り、様々な映像授業でしのいでいます。
この先の中学入試は、どうなるか、まだ早いとはいえ、無責任に大胆予想してみました。
【1】難関校は、倍率・難易度ともに例年通り
来春の御三家や早慶レベルは、特に変わらない厳しい入試になるのではないでしょうか。
塾の授業が休みになっても、だらけて勉強しない生徒は最上位にはいません。
受験情報に疎い保護者もいないので、適切な対応をする御家庭が大半でしょう。
むしろ小学校を休んで勉強できて、弱点補強はしやすいのですが、元々みんな必死だから差はあまり出ないと思います。
保護者の収入が大幅減になっても、すでに御三家を狙える位置にいる6年生は、経済的に無理してでも受験をさせるのでは?
MARCHの付属レベルも、例年通りで、楽にはならないと予想します。
【2】偏差値50前後は波乱がありそう
サピックス偏差値と首都圏模試偏差値は違うので、学校名を例示すると、大宮開成、麗澤、成城学園、順天レベル。
このくらいの中学は、波乱が起きてもおかしくありません。「まさかの不合格」もあれば「奇跡の合格」もあるのではないかと思います。
《1》家でコツコツと努力した人と、サボった人の差が大きいのがも偏差値50くらい。映像授業だとボーっとしていても注意されにくいため、気が抜ける人もいそうです。今年は成績が変動しやすいのでは。
《2》秋になっても、「三密」になりやすい模擬試験を受けにくいでしょう。テストの受験生が偏り、正確な判定が出にくいでしょう。倍率の予測がつかず、特に2月2日の併願校は、読みにくそうです。
《3》新型コロナは2~3年続くと予測する人がいます。東日本大震災の次の年は、遠くの学校を敬遠する人が増えたのと同様の影響があると思います。ただ最上位は、学校が少ないだけに、影響は限定的と予想します。
【3】入りやすい学校は、更に読めない
6年になってから受験勉強を始めても、合格できる私立中もあります。
この新型コロナの混乱で、受験勉強を始めにくくなります。校数は多くないですが、受験生が減ると定員割れの危機となるでしょう。
都心の入りやすい学校は、収束状況によっては、千葉埼玉からの遠距離通学が不安視され、応募者が減るかもしれません。
ただし、公立中学で授業休みが続くと、キッチリ授業する「入りやすい私立中」の需要が高まる可能性もあります。
【4】中学受験生が少し減るのは、4年生・5年生。
公務員や大企業の家庭はともかく、新型コロナで激しい収入減になっている自営業者があります。
ただ、6年生になって、必死に勉強してきた子どもに、「経済的にキツいから受験は止めてくれ」と言うのは断腸の思いでしょう。
無理してでも、努力に応えたくなるのではないでしょうか。
ただし、4年5年であれば、中学受験をやめるという選択肢が出てくるはずです。ここでも、「この成績を維持すれば開成・桜蔭も受かりそう」というトップ層なら、かなり無理してでも受けさせると思います。
2022年の1月2月の偏差値45以下の私立中は、若干入りやすくなる可能性があります。
【5】特待生枠の拡大をする学校が増えるのでは?
まだ私立中は、来年度の募集要項を正式発表していません。
私が私立中の校長なら、特待生枠の新設・拡大をします。
6年の成績上位層では、「授業料が無料の特待生」にしても、偏差値が10以上低い私立中に入ることは、ほとんどありません。
ところが今年は、経済的に厳しくなり、「何としても都立・国立」という層が、例年より増えそうです。
都立・国立が残念だったら、ウチにぜひ、というわけです。そのような受験生は、成績上位で、なおかつ国立大狙いになりやすいので、6年後には国立大合格者増加につなげられる可能性があるのです。
【6】都立県立一貫校は若干難化か
今年は例年より、「成績上位」でなおかつ「何としても都立県立一貫校」という受験生が多いと予想します。
そのような受験生は、仮に都立最難関の小石川に合格可能性70%であっても、より確実な学校を受けるのではないでしょうか。
比較的入りやすい一貫校が難化するのではないかと、情報が無い中で勝手に予想します。
【7】出題分野を予告する学校が増えるか
現在も、一部の学校では、出題を予告する学校があります。たとえば、
「理科の地学分野は、1回目入試で天体、2回目入試で地層岩石を出題します(気象は出さない)」というように。
合格しやすい学校を中心に、このような分野予告が増えそうです。
小学校はもちろん、塾も対面授業がしにくい時期が長いですから、対策を取りやすくするわけです。(そして受験生を囲い込む?)
本当なら、例年は平均点60点のところを、今年は難易度を下げて平均点70点にしてもいいような気もしますが、なかなかできないでしょう。
【8】入試の回数が減るかも
現在、私立中高に通っている多くの在校生は、現在も授業が受けられずに、授業時間の確保が課題になっています。
来年の1月2月に中学入試を1回すると、2日くらい在校生の授業日が減ってしまいます。
十分な人数の受験生が受けに来るなら良いのですが、2月4日の「5人募集、応募者10人」のような小規模入試は、打ち切りとなってもおかしくありません。
【9】定員厳守の学校が増えるかも
今までも、定員を大幅に超えた学校には、都県からの補助金が削減されるそうです。
しかし次の入試は、定員を超える入学者は、あまり出しにくいのではないかと予想します。
どの学校でも、教室の広さは決まっています。
40人が授業を受けていますが、三密状態です。ここに、1クラス43人詰め込むのは、来年度は大きな抵抗があるはずです。
40人×5クラスで定員200人のところ、手続する人が多くて215人が入学したとします。例年なら、1クラス43人にできても、来年度はクラスを6クラスに増やして、1クラス約36人に減らす方向になるかもしれません。現実的には、合格者を絞り込む(もし不足したら補欠繰り上げ)可能性が高まると予想します。
【10】映像・通信が発達している新しい学校が人気に
今年の私立中の説明会では、「自宅待機になりましたが、すぐ映像を配信して滞りなく授業を進めました」というのは、大きなアピールポイントになります。新型コロナも2波3波が押し寄せて、来年以降も引きずる可能性もあるからです。
東日本大震災の後は「本校の校舎は耐震構造」「固い岩盤の上に建っている」と強調する学校が目立ちましたが、今回は映像・通信になりそうです。
「授業をする先生が重要」なのはもちろんですが、この4月にどう対応したかをアピールして実績を強調できる学校が、人気出そうです。
【11】私立中の説明会が実施しにくい
現在も、入試関係の説明会は、ほぼ全面的にストップしています。
有名校なら、すでに校風や指導方針は知られていますが、併願受験者が多い学校、知名度が低い学校は、大変です。
PRのために、他校に先駆けて説明会を開催すると、「あの学校は、まだ感染が広がっている時期に・・・」などと批判されかねないですから、開催の判断が難しいのです。
「三密」を避けるために、説明会は「予約必要」「定員厳守」の流れができるのでは?
多数の学校が一か所に集まる合同説明会も、開催が簡単ではないだけに、早くから併願校の情報を積極的に手に入れるのが良いと思います。
【12】塾の夏期講習は、地域で差が
不安なのが、塾の夏期講習です。
首都圏の東京・神奈川・千葉・埼玉は、小学校が再開する時期は、あまり大きな差はないと予想。ここまでは、有利不利は基本的にないでしょう。
仮に6月1日から小学校再開となったら、夏休みに授業をするかは、住んでいる市区町村によって異なります。兵庫県小野市の市長は「休校が長引けば夏休み無し」との考えを公表しましたが、そのような地域もあるでしょう。
問題なのは、塾の生徒が異なる地域に住んでいる場合。
たとえば、市川市の生徒が4割、江戸川区の生徒が3割、船橋市の生徒が3割の塾があったとして、夏休みの扱いが市区によってバラバラだと、困ってしまいます。江戸川区民は夏期講習受けられるのに、市川市民は学校があるので来られないなんてことになりかねないのです。船橋市民は1教室20人で三密を防ぐために午前の生徒と午後の生徒に分けるなんて対応があったら、更にグチャグチャで、塾は対応できなくなります。
大手塾なら、「市川市民は○○校舎」「船橋市民は××校舎」などと、夏期講習だけ動いてもらうこともあるかもしれません。
以上の内容ですが、あくまでも個人の勝手な予想です。
ハズレたら、ごめんなさい。