東大2名合格、二松学舎柏 | 中学受験講師ブンブンのブログ

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中学受験の塾講師とプロ家庭教師をしています。指導のあり方、入試情勢、教えて思うことなどについて、書いていきます。

中学入試に続いて、大学入試も一通り終了した。

それぞれの中高一貫校でも、大学合格状況が固まった。

 

★二松学舎柏から東大2名合格

その中で特に目立ったのが、二松学舎柏中学である。

高校の難易度(偏差値)は、偏差値50は超えているものの、専修大松戸や麗澤よりも入りやすいのは明らかだ。

高校は昭和44年からあるが、中学が開校したのは6年前。今回卒業したのは開校1期生だ。実績がない新設中学に、成績上位の優秀生が入ってきたとは思えない。

ところが、6年後の今春には、東京大学に2名(理科1類・文科1類)に合格者が出た。この他、筑波大3名など他の事績もなかなかだ。

 

★私大入試は、教科を絞れる

東大入試と違って、私立大入試は違う点がある。入試科目が限られる点だ。

早稲田大学も難関大学だが、入試教科は基本的には3教科。文系なら英語・国語とたとえば日本史の3教科で受験できる。入試科目が少なく、たいていマークシートだから知識の量で、合否が決まる。

だから私立中高が、大学合格実績を出そうとすれば、選択科目を多くして、入試教科に絞った勉強をさせるのが手っ取り早い。高校1年から、数学・理科の授業時数を半減させて、その代わりに英語など鍛えるわけだ。私立大文系の入試は、日東駒専、GMARCH、早慶上智で、問題の難易度は違うが、勉強することはほとんど変わらない。一定の力がつけばGMARCHに、1人で5つ6つの合格が取れる。一部の生徒が、どんどん力をつければ早慶に合格できるわけだ。

 

★東大入試は特殊

ところが、東大に合格するためには、そうはいかない。

まず入試教科が多い。法学部に進む文科1類だと、550点満点だが、

センター試験110点(理科や数学も含む)

国語・・・・・120点

社会(地歴)120点(日本史・世界史・地理から2つ選択)

英語・・・・・120点

数学・・・・・80点、となる。

かなり教科数が多い。早慶を目指して成績が上がり合格圏内に入ったからと言って、東大に志望校を変えるのは、入試教科が一気に増えるため相当な覚悟が必要になる。(一橋大から東大への変更も簡単ではない)

更に、東大の二次入試は記述中心ということだ。表現力、読解力といった暗記だけでは太刀打ちできない形式だ。もともと東大合格者が多い開成や麻布などの難関校は、普段からこういう形式で問題を出す先生もいると聞く。普通の高校では、東大受験生に向けた授業はできないから、別途時間外に指導する必要が出てくる。

こういう「高い壁」を、フツウの高校から挑戦しようという意識付けは、簡単ではない。「先生は東大を目標にしよう!と言うけど、無茶だぜ」と思われそうな中で、普段から目標を持たせて、日々の学習と結びつけたのだから、「よくやった!」と感心する。

だからこそ、東大合格は学校側としては大変だし、2人となると「マグレ」ではないことになる。

 

★宣伝下手な学校

正直言って、「二松学舎柏から東大2名合格」と聞いて、私も驚いた。

でも、千葉大学などの国立大やGMARCHクラスの合格者は、一気に増えるのではないかと思っていた。

二松学舎柏は、昔から「裏表がほとんどない」「先生方は頑張ってるが宣伝が下手」という点が目立った。

入試広報の強化のために、この3月までの校長に芝浦工大柏で入試担当だった先生を招いた。そして都内の学校で入試広報担当していた先生を招いて、入試広報を強化した。これで広報体制が大きく改善されたと感じている。

 

★今後更に伸びそう

このまま順調に、合格実績をどんどん伸ばすかというと、そうは甘くないだろう。細かな事情は知らないが、来年・再来年も東大合格が出る可能性は高くないと思う。山あり谷ありだと思うが、全体的に伸びていくに違いない。。

ただ、この東大2名合格で、後輩たちは「頑張れば、東大にだって手が届く」と感じたに違いない。更に大きいのは、二松学舎柏の先生が自信を持って難関校への指導ができるようになることだと思う。

ただ、「専修大松戸と両方受かっても二松学舎柏に行く!」という層が出るのは、まだ先だろう。今後の努力が求められる。