今週の木曜日(2015年11月19日)に翻訳関連会社が東証マザーズに上場する。株式会社ロゼッタだ。自動翻訳などを中心に行うが、法人向けの翻訳も手掛ける。買収がらみの裏事情はさておき、IPOを直前にして、巷では「初値高騰が確定している案件」と話題。どういう形であれ、2020に向けての翻訳への市場の関心は高まっている。これに釣られるように(まあ、大株主でもあるのだがの)株式会社翻訳センターは、本日ストップ高。今後も、関連動向に注視したい。
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【言語】
英→日 翻訳(日がL1であることが望ましい)
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昨日、TILT(外国語教育における翻訳)について少し紹介した。大雑把にTILTとは、これまでの外国語教育は「モノリンガリズム」が支配的で、「英語は英語で学ぶのがよし」とされてきた。日本の状況は若干異なるのだが、最近はたしかにその傾向が強い。しかし、TILTの著者であるGuy Cook氏はモノリンガリズムをよしとする科学的根拠の希薄な事実を指摘し、バイリンガルの外国語教育のクラスルームと「翻訳」の使用を推奨する。つまり外国語教育における「翻訳」の復権を主張するのだ。
これはこれで一定の説得力を持つ論である。実際に、かなり大御所の翻訳研究者達にも影響を与えている。Kerr, 2014, Laviosa, 2014, またPym & KirstenMalmkjær, 2013などが、Translation vs. Language Learningについて論じているのだ。
ただ、ここで注意したいのは、TILTとは外国語教育(EFLやSLA)に立脚した理論であり、翻訳研究者や翻訳実務者からみると少し違和感がある。というのも、「翻訳」という営為は外国語学習のツールであるとは考えていないからだ。別の言い方をすると、教育の目標として、「英語を学ぶために翻訳(演習)を使う」というゴール設定(これは英語を学ぶことが目標)と、「英語を学んで翻訳家になる」という目標とでは異なるのだ。昨日のモヤモヤ感の原因の1つはこの辺りにある。
ということで、筆者の(大学)教育活動のひとつに、立教大学の武田珂代子教授と行う「翻訳通訳リテラシー教育(TIリテラシー教育)」がある(JSPS 科研費 26370712)。これは上でいう後者に近いものだが、必ずしもプロ翻訳者・通訳者の養成を目標とせず、教養としての翻訳通訳教育という考え方に基づいている。
実社会では、翻訳通訳という職業や営為は、それほど正しく理解されていない。また、普通では気づかないような所にも通訳や翻訳というものは浸透しているもので、グローバルコミュニケーションを支えている営為である。このような側面を認識・理解する力、すなわち「翻訳通訳リテラシー」を涵養するのが、この活動の目標である。プロの実務家の人たちに、直接関係するところでは翻訳・通訳サービスの「ユーザー(クライアント)教育・啓蒙」ということにもなろう。
詳細は、下記のHPを参照。
外国語教育における「翻訳」、Translation in Language
Teaching (TILT)。手強い。これについて考え悩む日々。さっきも、大学院の授業を終えてきたばかりだが、モヤモヤが残る。TIリテラシー教育や翻訳テクノロジー教育とも関連するのだが、手強い。そもそも「教育」に関する研究というのは、難しい。
先月、筆者の紀要論文がでた。その冒頭を引用しておく。これについては、また後日、続きを書くことにする。乞うご期待。
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翻訳の使用は外国語教育に適さないのか。この疑問に対する学術的議論が、最近、活発化してきているようである。Guy Cook(2010)のTranslation in Language
Teaching(日本語訳:『訳の効用』1斉藤兆史・北数史)が契機となり、外国語教育における「翻訳の復権・復活」を謳った書籍や論文が増えていることがある(Kerr, 2014, Laviosa, 2014, 辰己, 2014など)。また(日本の)大学・大学院における翻訳通訳の授業が増えてきているという事実もある(染谷, 2010)。1997年から2005年の8年間で通訳関連の授業を開設する大学・大学院の数はおよそ5倍に増えた(ibid.)。さらに、実務翻訳や産業翻訳において翻訳の需要が拡大し、それに伴い国際規格ISO17100が2014年から導入され、この中に翻訳者の資格の記述が含まれ、プロの翻訳者になるためには翻訳の大学の学位を所有し2年以上の実務経験を有することなどが定められている。この動向も相まって大学における翻訳教育が見直されている(武田・山田・辛島, 2014なども参照)。
一方で、日本の語学教育や外国語教育においては、翻訳のコースが増えてきているとは言っても、語学のクラスでの「訳」の使用はあまり積極的に受け入れられていない。外国語教育における「訳」は無視されて続けてきた(Cook, 2012)。そうだとすると、本来は、語学教育と翻訳教育とは、あまり接点を持たないものなのであろうか。
本稿の目的は、Cook(2010)の議論を中心に据え、外国語教育における「訳」の効用を再考する。具体的には、外国語教育と第二言語習得論(SLA)の歴史を振り返るなかで見えてくる鍵概念——言語は潜在意識・無意識に習得される——という命題をめぐる教授法のあり方に対し、翻訳規範(Translation Norms)という概念を重ねてみる。そして翻訳規範をメタ言語能力と捉え、その涵養と外国語教育(とりわけ日本の大学の英語教育・教授法)の目指す方向性との共通点を再考する。
http://www.kansai-u.ac.jp/fl/publication/pdf_department/13/107yamada.pdf
オリンピックに向けた自動通訳の国家プロジェクト
NICTの隅田先生が、今週末に立教大学で公演をされます。隅田先生は2020に向け重要な機械翻訳の国家プロジェクトをリードしておられます。
以下お知らせです。
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立教大学異文化コミュニケーション学部主催2015年連続講演会「通訳翻訳と異文化コミュニケーション」第4回「オリンピックに向けた自動通訳の国家プロジェクト」を下記の要領で開催します。
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、自動通訳システムを実装する国家プロジェクトが進行中です。今回は、それを率いる隅田英一郎氏(NICT)に
アプリの実演を含めながら自動通訳技術の現在と近未来について講演していただきます。
事前申込、参加費不要です。皆さまのご参加をお待ちしております。
日時: 2015年11月7日(土)13:30~15:00
場所: 立教大学池袋キャンパスマキムホール3階M301
http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/campusmap/
講演者:隅田英一郎氏(情報通通信研究開発機構(NICT)ユニバーサルコミュニケーション研究所・他言語翻訳研究室室長)
演題:2020年オリンピック・パラリンピックは自動通訳国家プロジェクトの檜舞台!
※ 転送、転載大歓迎です。
【添付ファイル】
* OlympicsMT_flyer.pdf
http://www.mlist.ne.jp/archive/attach/jaits/4510dbc3972528956a64c8fcfcc6de87/524/
- New Directions in Empirical Translation Process.../Springer

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