銀の少女-13.1- | 刹那-the Everyday Messiah-

刹那-the Everyday Messiah-

紡がれた言葉が、刹那でも皆様の心に残れば……

通りを歩いている男は、おおよそ海道市の風景にそぐわないものだった。
冬の初めにもかかわらず、アロハシャツを羽織るだけでズボンも半ズボンだった。おまけに靴は下駄である。
顔は無精髭で覆われ、少し長い髪は後ろ手結えてある。
細い眼はカウボーイハットで隠れて見えない。
(良い風が吹くねぇ…)
男は思った。
柔らかい風が男のシャツをはためかせる。
だが、唐突に感じた歪みの衝突に顔をしかめる。
(ふむ…距離は遠いが、ここまではっきり感じれるとは、お互い相当にできるな。…見に行くか?)
遠くで、何か巨大な物が倒れるような音がした。
男の地面までも揺れる。
(まぁ、いいか)
男は基本的に楽天家だった。
再び前方に眼をやる。
「それに、俺の対象とは無関係ぽいしな」
視線の先にあるのは海道西高校だった。

周囲がだんだん荒れ地に変わっていった。
流星のような勢いで落ちてくる大蛇の舌を少女は紙一重で避けていた。
次第に息が切れてきたが、一瞬でも気持ちを緩めると流舌群の餌食になることは分かっていた。
おそらく、一発でもくらったらただではすまないだろう。
一方で、蛇の顔にも焦りが浮かんできた。
なかなか少女に命中しないため、気が急いているのだろう。
だんだん舌が粗雑になっていく。