昭島のくじらの話
をしていて、ふと思いついたのですけれど、
「昭島」という地名は、何とはなし作りものくさいなぁと思っていたのですよね。
もうすでにネタは割れているのですが、
自治体どうしが合併してできた新しい自治体に
「さて、どういう名前をつけるか」てなところなわけですね。
企業同士の合併だとくどいくらいに名前を連ねるという形があるわけで、
しばらく前には太陽銀行と神戸銀行が合併して太陽神戸銀行になったところへ
今度は三井銀行も合併して太陽神戸三井銀行になってしまった。
あんまり長いんで太神三井(たいしんみつい)なんつう言い方もしてましたが、
結局のところ一時期のひらがな流行りでさくら銀行になったのもつかの間、
さらに住友銀行と合併して三井住友銀行になってしまった。
もっとも今では、三菱東京UFJ銀行という、とんでもないつわものがおりますが。
とまあ、銀行のことはさておき地名の話ですが、
平成の大合併とやらで進んだ自治体統合では
(個人的にはかつてかなり地理に強いと思っていたのですが)
さっぱりどこだかわからない地名が続々登場してきたですねえ。
関東地方の例でいいますと、
茨城県の小川町、美野里町、玉里村が合併してできた自治体があるのですが、
先ほどの銀行のように小川美野里玉里町などという名前をつけようはずもない。
合併する当事者(当事自治体?)の中に、ステイタス的にというのか
ちと他をリードする存在がいて、どちらかというと対等合併というよりは吸収合併?てな感じがあると、
その一頭地を抜く存在の元の名前をそのまま付けるといった例もありましょう。
(静岡市と清水
市が合併して静岡市になってしまい、その後も膨張してるとか。恐るべし、静岡市)
ですが、どこもどんぐりの背比べであったときには、いっそ全く新しい名前を付けてしまう手もある。
山梨県北巨摩郡の7町村が合併してできた北杜市
などは、どの町村の名前とも
地域の歴史とも全く関係のない命名なわけですが、こりゃ合併する数が多いからかも。
で、先ほどの茨城県の茨城県の小川町、美野里町、玉里村はどうしたか。
それぞれの元の名前の頭の一文字ずつを取って新しい名前を作り出すのですね。
小川町の「小」、美野里町の「美」、そして玉里村の「玉」を組み合わせて、小美玉市(おみたまし)。
う~ん、作りものくさい…。
というところで昭島に戻りますが、
こちらもやっぱり小美玉市と似たような例で旧町名の組み合わせながら、
違うところは頭の一文字を取ったわけではないということ。
元は昭和町と拝島町があって、これが合併してできたのが今の昭島市。
字面でお分かりのとおり、昭和町の「昭」と拝島町の「島」の組み合わせです。
それぞれから一文字づつ取ったんだから対等と思えないこともないですが、
やっぱり頭から一文字目をとったところと二文字目以降をとったのでは、ちと印象が異なるのでは。
「昭」には昭和町の余韻が感じられますが、「島」と言われて「拝島」を思うことは至難です。
そうはいっても、「昭拝?」だの「拝和?」だのと他の組み合わせをいろいろやってみて、
それでも昭島がやっぱりまともに見えるなとでもなったのでしょう。
実はこれとまったくおんなじような例が、23区の方にもあったのですね。
今の大田区ですが、歴史的に大田なる地名が区内にあるわけではなく、
どうやら大森
と蒲田の組み合わせであるそうな。
ここでもやっぱり蒲田の分が悪いような気がするのは、気にしすぎでありましょうか。
とまあ、ああだこうだ言ってきましたが、実はそうしたもの以上にいい加減と思われるのが、
昭島市同様に多摩地域にある国立市。
「くにたち」とルビを振らなければ「こくりつ」と区別がつかず、
国立音楽大学
を私立大学とは思っていない方がいるかもですねえ。
(そのわりに国立音楽大学の現在の所在地は立川市なんですが)
ところで、この国立市の名前の由来は国分寺と立川
の間にあるからというのですね。
これは今のJR中央線の国分寺・立川間に新駅ができる時に「どうしよ、どうしよ」となって
付けられた駅の名前。
当時(駅開業は大正15年)は、町といいますか村の中心はもっと南側、
今の南武線
寄りの方にあって、現在の国立駅前は箱根
土地という会社(西武系ですね)が
開発した新開地でしたので、ここにも「くにたち」という新名称を付けてしまって、今に至る。
とまれ、経緯から言えば「立国」でもよさそうですが、これも「りっこく」と間違われそうですし、
「たちくにぃ~」などと音で聞くと「おすもうさん?」と思われると考えたのか、
「くにたち」になったということでしょうか。
歴史的には、青柳とか谷保とかいうべきなのかとも思いますが、
仮にそういう地名だったとしたら、たぶん今のようすとはずいぶん違って
長閑な田園風景が残る場所だったかもしれんなぁと思ったりしますですよ。
とにもかくにも、地名の探究もなかなかに興味深いものでありますね。