毎度、弊店「Chain reaction of curiosity」にご来訪たまわり厚く御礼申し上げます。
さて、この度は「夏の臨時休業(第3弾)」のお知らせでございます。

(「またかよ!」という方もおいでかと思い、こっそりお知らせいたします)


猛暑が続いた後に、雨もやいながらひと息つける日々となっておりますが、

そうなったらなった「夏の終わり」をひしと感じる今日この頃。


この夏のやり残しはなかろうかと考えますれば、

「そうだ!」と思うことこれあり、やおら旅立つこととあいなりました。


とは申しましても、さほどに大掛かりというわけでもなく、

駿河の国、伊豆の国へと赴く次第でございます。


しばらく前に片山るんさんのブログ で拝見いたしました、

静岡県立美術館で開催中の「芸術の花開く都市」展の会期が9月8日まで。

絵画と都市を結びつける、その企画にはうずうずしてしまうところがありまして、

「よし、行っちゃおか」というわけであります。


でもって、そのついでと言っては何ですが、

この際ですのでいつかは行ってみようと思っておりました伊豆は長岡にあります「伊豆の長八美術館」、

そして下田の上原近代美術館とを合わせて回ってしまおうという算段。


たぶんに点を線でつなぐだけの慌ただしい旅となりそうではありますが、

戻りましてからまた皆さまと再会できますことを楽しみにしつつ、

お天気の優れなさそうなこともものともせずに?出立いたしまする。

ではでは、しばしのおいとまを…。


静岡県のキャラクター「ふじっぴー」

長々といいましょうか、一気呵成にといいましょうか、

続けて参りました「シドニー見て歩き紀行」も最終章となりました。


タイトルの「落ち穂拾い」は本当に落ち穂拾いをしたわけではありませんで、

これまで使わなかった写真やらでもって、あれやこれやを振り返ってみようかと。

まあ、こんな感じのエンディングもあり、ではありませんでしょうか。


シドニーの街角


まず、なんてことのないシドニーの街角。

自転車も行き過ぎれば、手をつないで横断歩道を渡る親子連れも。

旅行者は忘れがちですけれど、普通の生活者はどこにでもいるもので…。

でも、石造り、煉瓦積みの建物には目が行ってしまうのは旅行者の習性(?)、

向いのビルのまんなかの灯りがアクセントになってるなぁと。


セント・ジェームズ駅地下通路の入り口


ハイドパークの地下にあるセント・ジェームズ駅への地下通路の入り口。

廃止になってしまった京成電鉄の博物館動物園駅を思い出させるような…。

右側の軒下から覗いているのが、ハイドパークごしの聖メアリー教会ですね。


おお、動物園で思い出した。


シドニー・モノレール


これ、シドニー・モノレールです。上野動物園のモノレールもかくやの感じ。

下の車と比べても「ちゃっちゃぁ!」ということが分かりますよね。

片側一車線だけでぐるぐると市内循環する路線(アトラクションではありませんよ)。

決して広くない裏通りをくねくね抜けて走っていきます。


走る走るシドニー・モノレール


走っている雄姿を!と思いましたけれど、やっぱりちっちゃい…。

お、ちっちゃいといえば…。


ホテルの部屋で別れを惜しむ二人?


ハーバー・ブリッジを渡った向う側の町にあった小さな教会。

謂われもなにも知りませんけれど、なんかいい感じ。


…なんかいい感じと言えば…。


いい感じのアーケード


のんびりお茶するのもいい感じのアーケード。

パリあたりだとパサージュというのでしたっけ。


とまあ、シドニーという街は小さめで歩きやすく、いいところだったなと。

危なそうな人をまるで見かけることもなく、ゴミがそこらに落ちてるわけでもなく…。

ただ、物価が高いなぁとは思いますが(最初から言っていながら、詳細記してませんでした)。


とまれ、街のようすはアバウトにつかまえたので、またのんびりしに来るのもいいかなと思ったり。

帰り際の心持ちで見ると、ホテルの部屋の中でもはんべそかいてるのが二人もおりましたよ。


Chain reaction of curiosity


嗚呼、きみ嘆きたもうことなかれ。

またの逢瀬もなしとは言えず…。


かようにして、シドニー見て歩きの旅は幕を閉じるのでありました。

オーストラリアはシドニーまで出かけて行って、
個人的には、全く個人的にはですが、よぉやくたどりついた感のある場所にやってきたのですね。
ニューサウスウェールズ州立美術館であります。


ホテルからは徒歩でいつでも出かけられるような場所にありながら、
ようやく、ようやく!ひとりで出かけて好きなように見てきた美術館でありました。


やはりユニオン・ジャックの旗の下、国家元首を同じくする英国にならったのでありましょうか、
特別な企画展を除いてアドミッションフリーなのはありがたいところ。


もちろん、ロンドンのナショナル・ギャラリー あたりと比べては
「小ぶり?…」の感は否めないにしても、なかなかに楽しめる館内ではなかろうかと。

ご覧のように実に空いている(ガラガラ…)のもまた、嬉しいところなのですね。


ニューサウスウェールズ州立美術館 展示室


特徴としてはやはり英国絵画が多いということ、
そして他ではあまり見る機会のないオーストラリア作家の作品と、
さらにはアボリジナル・アートが見られるということでしょうか。


英国作家の作品にしても、ターナーコンスタブル を除いて
英国以外ではさほど目にする機会があるとはいえないわけですが、
まずもって目を惹くのがフレデリック・レイトンでありますね。

これはそのフレデリック・レイトンの手になる「Cymon and Iphigenia」(1884年)という作品。


Lord Frederic Leighton「Cymon and Iphigenia」


こうしたけだるい官能を匂わせる作品を目にすると、
どうしたって「Flaming June 」を思い出してしまうところですけれど、
本物の「Flaming June」はプエルト・リコにありますから(何故、プエルト・リコなのだろう?)、
見る機会が巡ってくることもなかろうなぁと思っているわけです。


が、なんとここではその「Flaming June」の習作(1895年頃)を見ることができたのですね。
とても小さな作品ながら、これはもうちょっとした興奮状態!

そのあおりか、写真がボケてるのは痛いところです…。


Lord Frederic Leighton astudy for Flaming June



と、この興奮状態(?)を覚ましてくれるのが、

ジョン・エヴァレット・ミレイ の「The captive」(1882年)かなと。


John Everett Millais「The captive」


作品から立ち上る非常に落ち着いた面持ちと繊細な筆遣いに、

むしろラファエル前派 の本領を見る思いがするわけです。


一方、フランス絵画も少ないながら粋な収蔵品を持っているようで、
こちらはモネ の「Port-Goulphar, Belle-Île」という1887年の作品。


Claude Monet「Port-Goulphar, Belle-Île」



実のところ作品によっては結構好き嫌いのはっきりしてしまうモネなのですけれど、
これはいまだ初々しい印象派の風情には惹かれるところでありますね。

そして、お次はピエール・ボナール


Pierre Bonnard「Bust in profile, red background (study)」


ボナールの「Bust in profile, red background」の習作にも心惹かれます。
いかぁにもボナールらしいタッチと色遣いですよね。


そしてそして、かなりの好物であるヴラマンク 作品がいくつかありました。
中でも「Sailing boats at Chatou」(1906-07年)は

いささかおとなしい感のあるフォーヴかなとも思いますけれど、
ロンドンはコートールド の所蔵作品をまた見たみにいきたいなぁという気にさせてくれてしまう

魅力を湛えた一枚だったのですね。


Maurice de Vlaminck「Sailing boats at Chatou」


とまあ、泰西名画の範疇に入りそうなところだけに触れていますけれど、
あまり目にする機会がないといったオーストラリア作家の作品にももちろん気になるものは多々ありです。


Elioth Gruner 作品の数々


これはElioth Grunerのコーナーで、写真ではそれぞれの絵は判然としないでしょうけれど、
どれも相当に豊かな詩情を湛えた作品でありました。

「こりゃ、オーストラリアのエミール・クラウス だな」なんつうふうに思ってしまいました。


そして、撮影不可のため印象を伝えがたいながら、アボリジナル・アートもなかなかに忘れがたいもの。
西洋文化とは関わりのない独自性を温存している作品、

西洋文化に触れたものの伝統のベースを保持しつつ生み出された作品、
それぞれに芸術という趣味嗜好の延長とは別の、

もっと生活に根ざした感のあるところが見られたりもして、
「絵を描くことの意味」を改めて考えたりすることにもなったり。


やっぱりちょっとした空き時間を利用して訪ねるというよりは、

もそっとたっぷりした余裕の中で訪れたい…ここもまたそういう場所なのでありましたよ。

(特別展も見たかったなぁ…)

♪お江戸日本橋七つ立ち…と歌われて夙に有名な日本橋。
江戸時代には、五街道の起点ともなった交通の要衝でありましょうに、
今や昔日の面影は見る影も無く、昔を偲ぶよすがは広重の手になる版画あたりでありましょうか。


とにもかくも近くを通るたびに、
首都高に圧し掛かられてしまって「哀れよのう」と思う日本橋なのですね。


ところで日本橋の何より凄いところは、
川があるからこそ橋が掛けられる、つまり川あっての橋というのが本来の順序であろうのに、
日本橋の下を流れる川の名前が日本橋川、要するに橋あっての川と順序が逆転?しているという。
これは全国的にも凄いことなんじゃなかろうかと(?)。


さりながら、しばらく前にTVで垣間見たところによりますと、
どうやら日本橋の凄さはそんなことばかりではないそうな。


まずは歴史ですかね。
現在の石造りの橋に架け替えられて、今年で100周年だそうで。
ですが、100年で驚いてはいけないのでして、番組に登場した建築学者の曰く「1000年は保つ」のだとか。


なんでも近年の補修作業の折には

「驚くほど緻密な仕事で仕上げられていることが分かった」てな話もありますので、
もしかしたら本当に1000年大丈夫かも。

もっとも、確かめられるのはずっと後世の人ですが…。


また、石造りの橋の頑健さの例として引き合いに出されたのがフランスはニームにあるポン・デュ・ガール。
古代ローマの時代に作られ、優に2000年はその姿を留めている水道橋ですが、
そこまで言われますと、日本橋がとてつもない造形物に思えてしまいますねえ。


とまあ、そんな日本橋の架橋100年記念イベントの一環として、
三井記念美術館では「日本美術にみる『橋』ものがたり」という展覧会が開催されているのですね。
「天橋立から日本橋まで」と副題のついた展覧会、ふらりと立ち寄り覗いてみました。


「橋ものがたり」展@三井記念美術館


古くは平安期から江戸、明治に至るまでの、橋の意匠が用いられた書画骨董の数々。
取り分け蒔絵を施した工芸品には眼を奪うものが多々ありましたけれど、
全体を通して見て、改めて「橋」なるものを考える…みたいなことになったという。


展示区分の中でも展示室4にあった「神仏の橋-天界・浄土とこの世の架け橋-」と
「神仏の橋-聖俗境界の橋-」という橋のあり様は、「言われてみれば、なるほどね!」と。


いちばん分かりやすいのが川に掛かる橋でありますけれど、
どちらの岸にしても向こう側が見えているのに行き来が出来ない…どうにかならんか?!
という場所に橋は架けられますね。


そうした側面から考えた場合には、こちら側と向こう側の行き来を自由にするバリアフリーというか、
アクセスフリーというか、そんな役割を橋が担うわけです。


しかしながら、わざわざ橋がありながらも
「こっから先は簡単にゃあ行き来はさせんよ」という意味合いになる場合があるのでして、
先に引いた「神仏の橋」はそうしたものなんでしょう。


この世とあの世を簡単に行き来してもらっては困る。
聖界(例えば寺社の領域)と俗界の方もまた、誰にもワイドオープンに開かれているわけではない。


本来は隔てられているところをつなぐのが「橋」ながら、
「橋」をもって隔てにしているのですものね。
この意味合いというのは、もそっとよく考えてみてもいいかもしれませんね。


土木技術が発達した今では
「この場所ならトンネルを掘っちゃいましょか」てな具合に隔てをつなぐ別の手段がありますけれど、
「こっから先はともかく違う場所なんだよね」ということを象徴的に「見せる」点では
トンネルより橋が断然勝ってますし。


昔「黒の舟歌」に歌われた、男の女の間にある深くて暗い川とやらにも、
もしで考えるならトンネルよりも橋が似合いましょうね。
ただし、これもアクセスフリーのためのものとは思いにくいですが…。


とまれ、単なる建造物とは思ってしまえないものを「橋」もまた以っているのだなと
思ったりしたのでありました。

当初は行くつもりにもしていなかったのでありますが、
ブルー・マウンテンズ のところで触れたユーカリとコアラの話やら
シドニー水族館 でみたオーストラリア独特の生き物のことやらを思うにつけ、
初めてオーストラリアにやってきたことでもあり、
「こりゃ、一度行ってみるかいね」となったわけですね、動物園へ。


シドニー近辺にはあれやこれやの動物園らしき施設があるそうなんですが、

市街から湾を隔てた向こう側にあるタロンガ動物園というのが、有名どころのようです。


サーキュラー・キーからシドニー・フェリーでも行けますけれど、

ダーリング・ハーバーから出発する(といってもサーキュラー・キーにも寄る)

キャプテン・クック・クルーズという会社がやっている「Zoo Express」というパッケージ・チケットが

往復のフェリーに入園料込でお得かなと利用したのでありました。


キャプテン・クック・クルーズで移動中


移動途中では、こんな素敵な光景を目にすることもできてしまうとれなれば、

お得感倍増ではないかと。


タロンガ動物園メイン・エントランス


こんな立派なメインエントランスを抜けた園内は、

海に向かう斜面に上から下へと徐々に降りて行きながら、

数々の動物が見られるようになっているのですね。


もちろん日本の動物園でお馴染みの動物たちも多々おりますけれど、

ここはやはりオーストラリアならではの動物たちをメインに回りたいところです。


そこで、やはりオーストラリアの代表選手として最初ご登場願うのは

カンガルーなんですが…


カンガルーは寝ている…


ひなたぼっこの余りに気持ちよさか、寝てますねえ。

昔「ライオンは寝ている」という歌はありましたが、まさに「カンガルーは寝ている」。

オーストラリアのナショナル・フラッグ・キャリアQantasのマークはこんなに躍動的なのに。


Qantas航空のマークはカンガルー


このカンガルーののほほんさを補うべく?活動をしていたのが、

カンガルーの子分(にしか見えない)ワラビーでありますね。


ワラビー@タロンガ動物園


お次もまた、カンガルーと並ぶオーストラリアを言えば!という代表選手、

コアラでありますが…やっぱり寝てる…。


コアラ@タロンガ動物園


ユーカリの木なのでしょうけれど、その枝の間にまるで定位置確保!的な収まり具合は

悔しいけれど?何ともまあ可愛いやつだぁねと思わざるを得ないのですね。


そのような可愛い系を見た後に登場するのが、ウォンバット。

こちらはですね、実におちつきなく動き回っておりまして、こんなふうに撮るのが精一杯。


ウォンバット@タロンガ動物園


日本人の女の子グループがいて、しきりに「かわいい~!」を連発しているそばで、

ついつい「可愛くねえなぁ…」とつぶやいてしまったという…。


そして、オーストラリアならでは!をもうひとつ。

絶滅が危惧されるタスマニアン・デビル。


タスマニアン・デビル@タロンガ動物園


こやつはですね、一見可愛いんですよ。

でも、あくびするを見てしまいましたが、実に鋭い牙をもっとりまして、

なかなかに狂暴なやつらしい…まさにデビルとは伊達でないんですなあ。


とまあ、「オーストラリアならでは」シリーズでお届けいたしましたが、

この動物園の特徴のひとつはその眺望ということでして、

ところどころにビスタ・ポイントが置かれているわけです。


タロンガ動物園からの眺望


そのうちのひとつからはこんな景色が見えるのですから、

景色を見て動物を見て和む、動物を見て景色を見て和む、

どちらもありの、なかなかによいところ。

それが、タロンガ動物園なのでありました。


ちなみに「タロンガ」とはアボリジニの言葉で「美しい水の眺め」という意味なのだとか。

さもありなむでありますね。