この間読みました「イタリア貴族養成講座 」では、盛大に催される「饗宴」の間、

絶え間なくといったふうに次々と音楽が奏されることが書かれていました。
そこで、ここはひとつかような饗宴でも響いたかと想像されるルネサンス音楽を聴いてみようかと。


何しろ美術と違って音楽の場合には、バロック よりも遡るとなれば、
作曲家も楽器もいったい「どんなの?」ということになってしまうわけですが、
まずは輸入盤で「Musica del XV secolo in Italia」という一枚聴いてみることにいたします。
直訳すればまんま「イタリア15世紀の音楽」ということに。


Italian Music of the 15th Century/Ensemble Ars Italica


先ほど作曲家も「どんなの?」と言ったばかりですが、

収録曲のほとんどが「anonimo(anonymous)」、つまりは作者不詳なのですね。


これはたぶん楽譜の発展とも関わることなんでしょうけれど、

楽譜の印刷は16世紀に大きく進歩するようですので、

それ以前にはほんとに一度きりの即興演奏や耳伝えの伝承とか、

はたまた手書き楽譜があっても散逸やらかすれやら汚れやら虫食いやらに苛まれてしまったのでありましょう。


さて、曲の方はといえば実に鄙びた印象を持つのでありますよ。
当時の大貴族たちの集まりでこそ演奏されたのであって、

文字通り鄙びた地域、農民や庶民の元で演奏されたのではないにしても、
こちらは楽器の発展とも関わってくるのでしょうけれど、何とも素朴な音色がしてくるわけです。


おそらくはダブル・リードの楽器、オーボエあたりの祖形かもですが、
いわゆるチャルメラか、バグ・パイプっぽい響きがしています。
と思ったら、CDのリーフレットに「ciaramella」と書いてありました。
「チアラメッラ」、やっぱりチャルメラだったんですねえ。


それ以外では、今で言うトロンボーンらしき音が聴こえてきます。
「tromba a tiro」という楽器名がリストにありますが、これでありましょうか。


あとはリズムを打つ太鼓(打楽器というより、いかにも太鼓)がドンドンと、
いずれにしてもやはり「鄙」のイメージなんですよね。


貴族の饗宴というだけで絢爛豪華な世界を思い浮かべてしまうところですけれど、
考えてみれば、灯りにしたって蝋燭点しての世界ですから、今と比べて断然薄暗い中でしょうし、
何もかもが素朴だったのだろうなあと、改めて想像するわけです。


そんな中でダンスを踊るのも、ウィンナ・ワルツのような優雅さを漂わすものというより、
みんなで輪になって足拍子取りながら踊ってる感のある曲が流れてきますし。

もちろん、当時はそれが最先端の社交であったのでしょうけれど、
それが中世というものであったのでありましょう。


とまれ、こういうのをライブで聴いてみたいですよね。

楽器の形もヘンテコかもしれないし、それに合わせて中世風の衣装でコスプレしてとか(聴く方も)。