合唱祭 の話題と「展覧会の絵 」でもって、冨田勲さんを思い出したものですから、
またしてもLPレコード の「惑星」を取り出してみました。

ちょうど七夕ですから、 に思いを馳せるのもよろしいかと・・・。


惑星/冨田勲


もちろんオリジナルはホルスト作曲の管弦楽曲。
これをモーグとローランドのシンセサイザーを駆使してアレンジした編曲版なのですね。


ところがどうやら編曲というには留まらないようではあります。

冨田さん自身、制作メモの中で「あくまで音のアニメーションにしたかった」と言っていますし、
レコードにも「Arranged by Isao Tomita」でなくして、
「Electronically created by Isao Tomita」とあるのですから。


始まりは、素直に第1曲の「火星」が始まる前に、鄙びたオルゴール の音色が流れ、
その後にあたかもロケットの発射風景と思しきものが出てきたかと思うと、
宇宙船からの交信のようなものが始まります。
こうしたケレンミたっぷりのところは「展覧会の絵」と同様ですね。


手元のレコードでは1977年とありますけれど、
ともかく当時のシンセサイザーというのは、機械的にいろんな音が出せるという代物でありまして、
その「いろんな音」に先駆者たちは飛びついたわけですけれど、
今から思えば、あまりに機械的であるが故に、曲を選ぶところがあるのではないかと。
その点、この「惑星」あたりは妙にぴったり!と言えないことはありません。


とまあ、面白がってばかりいられないなあと思うのは、
音源が実はシンセサイザーばかりではないということでしょうか。
先に挙げたロケットの発射音はホワイト・ノイズを合成して作ったといいます。


ホワイト・ノイズの「音」としてのインパクトの強さは、
東京オペラシティにあるICC で聴覚的に体験できますけれど、
こうした「音楽的でない音」を使用するあたり、

冨田勲さんは正しく20世紀音楽 の作曲家であったということにもなろうかと思ったりするわけです。


ただ比較的聴く者に易しい音楽といいましょうか、
きちんとメロディを創作していたりしてくれるものですから、わかりやすい反面、
聴衆の捉え方以前に実験的に音楽を作り出していた、つまり尖がった人たちからすれば、
大衆迎合路線にも思えたかもしれないですね。

何しろ、「ジャングル大帝」も「新日本紀行」も冨田勲作曲なのですから。


こうした作曲家が、シンセサイザーのようなものに取り組むというのも時代の流れ(の先取り?)だったと
今から思えば言えないことはないのですけれど、
そのことでさえ、音楽家としては尖がった振る舞いのようにしか受け止めえなかったのは、
言ってみれば「お子様」だったのでありましょう。


マーラー の時代がかなり遅れて来たようにとまではいいませんけれど、
冨田勲という音楽家の評価は、もしかしたらこれからなのかもしれませんね。