かつて「映画音楽」というジャンルがありましたね。
今でもあるのかもしれないですけれど、今よりももっと確固としたステイタスとして。
FM放送などでは、よく特集番組をやっていたものです。
そうした時代の立役者のひとり、モーリス・ジャールが84歳で亡くなったと昨日の夕刊に出ていましたね。
ひとつの時代が終わった…とまでは言わないものの、
映画世界における大作曲家がまたひとり没したというところでしょうか。
「アラビアのロレンス」(1962年)、「ドクトル・ジバゴ」(1965年)、「インドへの道」(1984年)と
3度ものアカデミー賞を受賞している大家(ノミネートは9回)なわけですけれど、
先の2作が60年代であるように、昔の人なのだよなあと思っていたのですね。
それが、それから20年も経った頃になって「インドへの道」で健在ぶりを示し、
翌1985年公開の「刑事ジョン・ブック 目撃者」では
アーミッシュの人たちが力を合わせて納屋を建てるところのたっぷりとした音楽が印象的で、
「アラビアのロレンス」の勇猛さばかりの音楽ではないのだなあ、モーリス・ジャールの音楽は!
と思ったのでありました。
思い込みかもしれないのですけれど、映画の音楽を安く見てしまいがちなところがあるものの、
例えばメンデルスゾーン が劇音楽「夏の夜の夢」を書いたからといって、
安く見てしまうことはありませんし、劇と映画というメディアの違いだけで
現代に近づくほど、プロコフィエフとか有名な(クラシックの)作曲家が
映画音楽を書いていたりするわけです。
いわゆるクラシック音楽と映画音楽とどちらに軸足を置くかの違いかもしれず、
またどれだけ職人肌かといった点での違いはあるのかもしれませんけれど、
メロディ・メーカーであることは間違いないわけなのですね。
さすがに近頃はあまり名前を聞くことのなくなっていたモーリス・ジャールの音楽を、
楽しみながら、その死を悼むことといたしましょう。
R.I.P...


