この間、東京オペラシティで東京交響楽団の演奏会を聴いてきたのですけれど、
ボロディンの「中央アジアの草原にて」に始まって、ドヴォルザークの「新世界」で終わるスラブ尽くし。
そして、その2曲に挟まるコンチェルトが、アレンスキーのピアノ協奏曲ヘ短調作品2。
なんと、日本初演ということでありました。
アレンスキーという作曲家は、名前だけしか聞いたことがなく、曲を聴くのは初めてでしたが、
「ショパン 、チャイコフスキー 、さらにメンデルスゾーン の影響が濃い」とパンフレットの解説にあるとおり、
似たような雰囲気を醸しつつも、メロディの流れが悪いなあ・・・などと思いながら、聴いていたわけです。
ところが、第三楽章になって俄然面白くなったのですね。
理由は実にシンプルです。4分の5拍子だからなのでした。
音楽の拍子は、2拍子、3拍子、4拍子が一般的ですけれど、
ほんの時折、5拍子という変拍子が登場して異彩を放つことがあるわけです。
例えば、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」の第2楽章が、4分の5拍子です。
拍が多い分つっかかりそうな印象のある5拍子が、舞曲のように流れるメロディを紡いでいるのですね。
一度聴いたら忘れられない・・・というのは、大袈裟ですけれど、変拍子であることは忘れてしまう音楽です。
ウエストコースト・ジャズのピアニスト、デイブ・ブルーベックと
アルトサックスのポール・デズモンドによる「Take 5」ですね。
80年代後半に「アリナミン」のCMで使われたりもしていて、
おそらくはどこかで聴いたことがあるのではないでしょうか。
こちらは、まさにつっかかる感じの5拍子ですが、
非常に都会的なクールな印象がピタリ来る音楽なわけです。
とまあ、決して数は多くないと思しき5拍子の曲ですけれど、
それぞれになかなか妙味があるのですね。
でもって、アレンスキーのピアノ協奏曲に戻ってくると、
「ドンタカタ、プップー、ドンタカタ、プップー」という「3拍子+2拍子」系の5拍子で、
決して素敵な旋律とは言いがたいのですけれど、
なんといっても面白さではなかなかのものなのでした。
CDを買って聴くことをお薦めするまでのことはありませんが、
なんとか3楽章はまた聴いてみたいなと思うのでありました。