他の病院にも確認したが英治らしき人物は見つからなかった。

そして、ひとみのアカウントにもいろいろな情報が寄せられた。


「駅前の牛丼屋で揉めてたクレーマーを力ずくで店から締め出してた人にそっくり! あの時の人、めちゃくちゃカッコよかったんですけど……。」

その牛丼屋は、英治の職場からほど近い場所。帰宅途中に寄ったのだろうか。


「電車で私を痴漢したスケベ親父を捕まえてくれた人! ありがとうって言いたかったのに、そのまま降りちゃって……本当にあの人だったら、連絡ください。」
いかにも彼らしい。ひとみの目から涙がこぼれた。

「東京駅で路線図を真剣な表情で眺めていた人に似てる。スーツ姿で、ちょっと疲れた顔してました。事故があった日と同じ日だったと思います。」
東京駅。英治はそこで何を思っていたのだろう。どこへ行こうとしていたのか。
そして、最も胸を抉った情報が届いた。
「表参道を女の人と一緒に歩いていた。腕を組んで、楽しそうだったよ。」
彼に限ってそんなことはないと信じたいが、ひとみに愛想尽かしてしまった可能性もある。彼女は部屋の床に崩れ落ちた。
どれかが本物なら、英治は生きている。でも、彼はどこにいるのか。なぜ自分に何も言わずに消えたのか。ひとみは窓の外を見つめた。外はもう暗くなっていた。通知はまだ鳴り続けている。希望と疑念が交錯する中、彼女はただ祈るように呟いた。
「英治……どこにいるの?」
英治の行方は、いまだわからないままだった。