ひとみは、英治の写真をSNSに投稿し続けていた。笑顔の彼、二人で旅行した楽しかった思い出、結婚式の日のお姫さまだっこ……。コメントは励ましの言葉ばかりだった。
ある夜、新たなコメントがついた。
都内の病院で看護師をしているという人物。
「この人、うちの病院に搬送されてきた人に似てる気がするな~」
心臓が跳ねた。ひとみはすぐにDMを送った。震える指で、丁寧に、でも切実に。
「本当に似ているんですか? 詳しく教えていただけますか……」
返信は翌朝に来た。
その患者は、首都高速の多重事故の夜に運ばれてきた。事故現場からヘリで搬送され、意識不明の重体。いまもICUで、人工呼吸器をつけ、意志疎通は一切できない。家族の確認も取れず、身元不明のまま保護されているという。そして、重要な一言。
「腹部に、かなり目立つ手術跡があるんです。縦に長い、大きな傷。事故の外傷じゃなくて、昔のものみたいで……」
ひとみは息を止めた。英治にそんな傷はなかった。何度か彼の腹部を目にしたが、そこに大きな手術跡なんて存在しなかった。
「残念ですが、その人は私の夫ではないです」
「そうですか、お役に立てずすみません」
ひとみは窓の外を眺めた。一羽の鳥が飛んでいる。彼は今、どこにいるのだろう。