真言の発音・修練としての読書 (元極功) | 瑞霊に倣いて

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  『霊界物語』が一組あれば、これを 種 にしてミロクの世は実現できる。 
                            (出口王仁三郎)  

 “功訣を黙念する時の発音は、生まれつきの自然の発音で黙念すればよい。各地方、各国の言語はみなその地方、その国の人の先天エネルギーの音であるから、最も体内の発展と運化に適している。この自然の音をもって、先天のエネルギーを展示して、「胎音」に帰還するようにする。

 書中の十字真言に表音文字でその音を示したが、これは修練者に発音の指導に供するだけで、表音文字を各地方の方言に転化し、または本国の言語に翻訳してもいいのである。十字真言やその他の法訣・功訣を黙念する時は、自然の音を基準として、無理に標準音で念訣する必要はない。また、ぎこちないその他の発音で念訣せずに、湖北人なら湖北のことばで、外国人なら外国のことばで念訣すればよいのである。”(P134)

 

 “読書は一種の修練であり、一種の功訣を黙念する修練である。本は即ち訣である。故に古人は読書を「功課」をすると言っている。そして、学問のある人を「有功夫」(功力がある)と言う。古人が読書については、「調心・調息・調身」を大変重視している。孟子は「学問の道は他にあらず、その放心(真理を把握して疑わない)を求めるのみなり」と言っている。「管子」には能(よ)く正、能く静、然る後に能く定するなり。定は心の中に‥‥‥」とある。「大学」の中には更に詳しい内容が記されている。「止まるところを知る。しかる後に定まりあり。定まってしかる後に能く静まる。静まってしかる後に能く安んずる。安んじてしかる後に能く慮(おもんばか)る。慮ってしかる後に能く得る」と。古代学者の「襟を正しくして危坐するところの挙止安閑な」儒家風貌は、実は学問をする基本的な「功」である。どのようにすれば読書の妙が会得されるかと言えば、「書を読むこと百遍、其の義自から通ずる」である。”(P142)

 

             (張志祥編著「中国元極功 混沌初開法」(科学出版社)より)

 

*この元極功というのは、中国の気功の一派で、90年代に伝承者の張志祥老師が数回にわたり来日され、テレビでも放映されたのでご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。北宋を滅ぼして南宋と対峙した女真族の国、金に存在した道教系の宗教「太一道」の流れを汲むとされ、湖北省鄂州の蓮花山に本山があります(武漢から車で2時間のところです)。

 

*「十字真言」とは、元極功の練功のときに唱えられる真言(功訣)のことで、人体内で響いている音であり、アン・ジン・ミー・ピー・ジー・パー・ヤー・イン・ホア・ディンの十音からなります。田中圭一著「ウツヌケ」(KADOKAWA)では、うつ病を治す呪文として紹介されていました。

 

*張志祥老師は、各地域の言語、方言などは、その土地の先天の気に感応して生じたものであるので、功訣(真言)はその土地の発音、あるいはその人の母国語の発音で唱えてかまわない、と説いておられます。以前、真言宗の方が、真言陀羅尼について、もともとのサンスクリットの正確な発音で唱えるのと、日本語なまりの発音で唱えるのと、どちらが適切なのか、という疑問を述べておられるのを読んだことがあります。その方は、日本語なまりの発音でも、しっかり「験」が出ているので、このままで良いと思う、という結論でしたが、この張志祥老師の説明を読むと、確かに、日本では日本語なまりの発音で良いのだと納得できます。

 

*このように「先天の気」ということについて考えると、各国、各地域の固有の言語の大切さというものがより実感できます。最近、中国共産党政府が、内モンゴル自治区の学校でのモンゴル語学習を禁止したというニュースを目にしましたが、とんでもない事です。既にチベットや東トルキスタン(ウイグル)ではそれぞれの民族の言語の学習が禁止されていますが、まさに天則違反の政策であり、共産党政府が何によって動かされているのかがよく分かります。

 

*タイトルとは直接関係はないのですが、チベットやウイグルにおける中国共産党の数々の非道な行いは、今や全世界の人が知るところとなっています。しかし、共産党政府は相変わらず対話のテーブルにすら着こうとはしません。民族紛争は世界各地で起こっていますが、中でもチベットでは約70年間にわたり、仏教の教えに従い忍耐強く非暴力による抵抗が貫かれています。ですが、もしもこのダライ・ラマ法王に率いられた無抵抗主義のチベット解放運動が失敗に終わり、何の実績も上げることができなければ、これはもはや武力闘争に舵を切る以外にないということになってしまいます。日本には「平和を守れ」とか「平和は何よりも尊い」などと声を張り上げる市民の方々が多数存在していますが、本当に世界平和の実現を望んでいるというのであれば、このチベットの問題についても、もっと積極的に関わってしかるべきだと思います。安倍前首相が辞任を発表されたとき、世界各国の首脳や様々な団体の代表者たちから数多くのねぎらい、感謝のメッセージがよせられましたが、その中にはチベット亡命政権のダライ・ラマ法王や、日本ウイグル協会からのものもありました。安倍前首相は、2008年に来日した胡錦濤国家主席に対し、中国で不当に拘束され獄中生活を送っていたウイグル人学生の問題を直接提起され、そのおかげでその方の解放が実現されたという実績もありました。これからも日本政府には、世界平和の実現に向けて頑張って頂きたいと思います。