真向法 (仏教体操) | 瑞霊に倣いて

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  『霊界物語』が一組あれば、これを 種 にしてミロクの世は実現できる。 
                            (出口王仁三郎)  

*真向法とは、明治22年生まれの実業家、長井津(わたる)氏(写真)によって創始された健康体操です。長井氏は、福井県の勝鬘(しょうまん)寺という浄土真宗のお寺の生まれで、幼少のころから商売で身を立てようと志し、若くして大成功を収めるのですが、42歳のときに脳溢血で倒れ、半身不随となってしまいます。絶望の中、生家である勝鬘寺に戻り、そこにある仏典を繰り返し読んでいるうちに、特に「勝鬘経」の中の「頭面接足礼」に注目し、実践し続けた結果、次第に体が動くようになり、更に「大無量寿経」の中の「五体投地礼」の修得にも励み、ついに元のような健全な心身を取り戻すことに成功します。この間の体験をもとに四つの動作から成る新しい独自の体操を創始し、当初は「念仏体操」と名づけていたのですが、これではあまりに宗教色が強すぎるため、いくつか名前を変更したのちに、最終的に「真向法」という名に落ち着いたのだそうです。

 

 “先生は脳溢血で倒れられ、生きる望みも失われるが、その時光明を与えてくれたのは勝鬘経の読経を繰り返して終わりの頭面接足礼から閃いたのが、第一体操であるといわれる。その時の心境は死生一如の空の心境であり、空から閃いたのが色の体操である。

 即ち般若心経でいう空即是色そのままである。第二体操は五体投地礼から編出されている。第三、第四体操は、天地の発想から導き出されており、これは気の働きである。色即是空。色は真向法体操であり、空は気がみなぎり、雑念のない三昧の境地である。

 

  この道を朝な夕なにふみてあれば 命の生くる喜びぞ湧く

 

 これは皇学館大学の佐藤通次先生が真向法を詠まれたものであるが、身体の内面から呼吸にあわせて、リズミカルに体を動かすと丹田あたりに気が漂いはじめる。その境地を詠まれたものであろう。

 真向法を特に愛好された安岡正篤先生は、この内面的な姿に生命の理、道の妙味という言葉で表現され、真向法は学究的自分にも知的満足を与えてくれる。といわれている。

 事業も人生も浮沈が多い。順調な道ばかりでない。気が滅入ったとき、夜の明ける頃、腹式呼吸をつづけていると不思議に気分がおちついてくる。

 軌は気に通ずる。経営者は常に宇宙の気と自分の中の気を交流させながら、調和させていく工夫が必要である。こうすれば事業の成功はまちがいない。”

 

      (山之内重遠「気と真向法」(真向法体操普及会鹿児島支部)より)

 

(「第一体操」の動作:「3分間でできる健康体操 真向法」真向法体操普及会より)

 

*この第一体操の基本姿勢は、いわゆる「楽座」といわれるもので、平安時代の貴族たちの座り方であり(雛人形や郷土玩具の天神人形はこの座り方です)、今でも和楽器の奏者はこのように座るのだそうです。これはまた赤ちゃんの座り方でもあります。

 

*以前知り合ったヨガの先生から聞いた話ですが、体はどこも悪くないのに、妊娠できないという女性は、この両足の裏を上に向けて揃え、両ひざを床につける、第一体操の座り方がちゃんとできない人が多く、ヨガを続けてこの座り方ができるようになったら妊娠したという方が何人もいらっしゃる、ということでした。おそらく妊娠には骨盤の状態も関係しているのではないかと思われます。

 

*妊娠している女性の吐き気(つわり)について、エドガー・ケイシーは、オステオパシー(整骨療法)を勧めています(「オステオパシーの学校を出た優れた婦人科医であれば、多くの母親を産みの苦しみから救うことができる」457-14)。ということは、一種の自力整体でもある真向法やマタニティヨガなども、つわり軽減の効果が期待できそうです。野口整体の野口晴哉先生は、「つわりは腸骨がスムーズに拡がっていればない。そこで拡がりがつかえている場合には、縮んでいる方の腰椎五番を押さえればキチンとなり、それで治る」また、多くの妊婦がつわりは自然作用であるから仕方がないと考えているが、決してそうではなく異常現象の一つであるから「『つわりはいらないものである』という心理誘導をすると、妊娠中は被暗示性が極端に過敏であるから効果が上がります」と言っておられます(参考:「野口晴哉・整体入門」講談社)。ただ、言うまでもないことですが、妊娠中に行う体操、整体については、胎児への影響を考慮して十分注意して下さるよう、お願いします。

 

*真向法の第一、第三体操は、ほとんど「ラマーズ法」と同じ動作だそうです。ですので、当然のことながら、陣痛の軽減にも効果があるはずです。

 

*大本では、子宝祈願や子どもの病気平癒祈願は、亀岡天恩郷の小安石に、お産については綾部梅松苑の大本塩釜神社に祈願すると良いとされています(一般の方も参拝できます)。