夜光の玉・顕国(うつしくに)の玉 | 瑞霊に倣いて

瑞霊に倣いて

  
  『霊界物語』が一組あれば、これを 種 にしてミロクの世は実現できる。 
                            (出口王仁三郎)  

・夜光の玉・顕国(うつしくに)の玉

 

 “聖師さまご昇天当時のこと、お側にお付きの方で物語を熱心に拝読し深く研鑽しているという人にお会いした時、私は玉照彦、玉照姫さまとはいかなる意味かと、お尋ねしてみた。その時、その方は「そんなことはわからない。わかっているのは聖師さまだけだ」との答えが返ってきた。その時、私は「これで良いのだろうか?何のために物語をお出しになったのか、お側にお付きの人はわからぬことをお伺いする機会はいくらでもあるのではないか」と思った。

 これは私の体験したことであるが――聖師さまが農園にお帰りになった当時の事である。私の近くにいた友が遊びに来た時、たまたま話題が物語のことにふれて、私は『夜光の玉』について思ったことを話した。その後、その友人は亀岡に行って聖師さまにご面会して、その玉のことをお伺いしたということである。聖師さまは『そうだ、内在の玉だ』と、お教え下されたということであった。

 ……やはりそうだったのか、死線を超えて地中の竜神から受け取ってきた玉、これはわれわれ人間の腹の底に在る玉、一度死んだつもりにならんと出てこない誠の玉だ、身も魂も神さまにおそなえするのでなくては誠の信仰とはいえないのだろう……と話し合った。その後、その友は家を引き払って亀岡へ引っ越して行った。『夜光の玉』を持って神さまにお供えに行ったのである。その友は今、三代さまのお側で、大切なご用をされている。

 

 今日の世界にとっても、われら大本人にとっても、重要な玉がある。

 それは顕国(うつしくに)の御玉であろう。天の安河の本源にさかのぼって持って帰る玉。聖師さまの言霊解によれば、顕国の玉とは、「宗教の本義」である。天上の神国を、地上にうつす。地上天国をつくるのが宗教の本義であって、万教は同根である。うつし国の玉の光によってその目的、使命を果たさなければならない。

 まず今日の世界の不安をとりのぞくために、世界の宗教は一致団結して、平和を打ち立てねばならない。それはまた『玉』の威徳の発動ではなかろうかと思う。”

 

          (「おほもと」昭和51年2月号 松本和三郎『随想 夜光の玉』より)