モンゴルでの御神業 (玉と剣の発動) | 瑞霊に倣いて

瑞霊に倣いて

  
  『霊界物語』が一組あれば、これを 種 にしてミロクの世は実現できる。 
                            (出口王仁三郎)  

 

・玉と剣の発動

 

  「それは玉と剣だよ」

といって、ハハハハ、と豪快に笑った出口王仁三郎師は、意表をつかれてキョトンとした岡崎鉄首の顔へ、ブーッとたばこを吹きかけた。

  「玉と剣?……どこにあったものです」

  「綾部の大本の宝物だったよ。玉は水晶、剣は天国(あまくに)の名刀だ。それをソッと持ち出し蒙古に置いてきた。この二つが発動しだすと世界は動くことになるのじゃ」

  「へぇ……」

 岡崎には何のことか神秘めいたことはわからなかった。出口師に会うと、きっと一、二度は神秘的な言葉に接する。するとムッと反感を覚えるが不思議とまたそれが魅力で神秘的言葉がないとさびしい。

 大正十四年三月、春とはいえ、亀山城の城跡に吹きあげてくる風は寒かった。

 怪物と世間から注目されている出口師の居間には瀬戸物の火鉢が一つと古机が一つあるだけで、床に八方にらみの達磨の軸がかけてあり、その前に白梅がいけてあるだけであって、何一つ調度品もなかった。

 「満洲浪人もこのころは活動舞台がなくなって奥さん孝行ができるだろう、ハハハハハ」

 「いや、とんでもない。蒙古入りを失敗に終わらせたのはわれわれ浪人がボケていたからだと知人には笑われ、家内には責められ身のおき場がありません」

 「ハハハハハ、気の小さい満洲浪人だなぁ。なにも失敗ではない、成功したのだよ。一石を投じたのじゃ。波紋は今、拡がりつつある。神界の経綸からいえば舞台装置ができて、これから剣の舞がはじまるのじゃ」

 「ちょっと……どうもわからん。神界の経綸だの、剣の舞だの……私は少し頭が悪いのですから……」

と、自分の頭をコツンとたたいた。

 そして

 「大庫倫に入って蒙古王国を建設する目的が張作霖のために挫折し、多くの犠牲者を出し、おめおめと閑居することは、残念で腹が煮え返るようです。

 「神と人との合作だよ。人のすることはもう終わった。笑うものには笑わし、失敗だというものには言わしておきなさい。成果はこれから起きる神劇にある。張作霖もやがて剣の裁断を受ける」

 「そんなことがわかりますか?」

 「わかる」

 

    (「人類愛善新聞」昭和33年7月 高松恋月(大国美都雄)『過潮の月』)

 

  

・大本教二代教主、出口すみ(聖師の妻)の言葉

「入蒙は大へん深いお仕組みで、やがてこのお仕組みが実地にまわってくるのであります」

 

 “清吉兄さんはそれから台湾事変に征って戦死したことになっています。そのころの近衛兵は赤い帽子をかぶっていたそうで、その当時、支那兵から赤帽隊と呼ばれていたものだそうです。清吉兄さんは金神様のお働きであると聞いておりましたが、戦争中にいろいろ不思議なことが現われましたそうです。また日の出の御守護といわれておりましたことも、思いあたるような働きを示したということをきいております。戦争がすみましても清吉兄さんは帰ってきませんでした。…(中略)…遺骨もなく、たった一冊の手帳が送られてきまして、これで戦死したということになっていたのです。”

 

 “先生(出口王仁三郎聖師)は蒙古で清吉兄さんの娘であるという羅竜(ラリョウ)という人に会われたというのです。

 お筆先では、清吉兄さんは死んでいないということになってましたので、これは死んでしまってもう居ないということであるという人と、まだ死んではいない、生きているということであるという人もありましたが、私は清吉兄さんはお筆先で、日の出の守護となっていましたから、なにか深いご守護のもとに、お仕組みのことで支那に渡られたように思えてならなかったので、私は先生からラリョウの話を聞いたとき、人とは別な気持ちで驚かされたのであります。

 先生の蒙古入りのことは、ずっとあとで詳しく述べますが、大へん深いお仕組みで、まだ先でないと、このことを言うても、だれにも通じないことでありまして、やがてこのお仕組みが実地にまわってくるのであります。”

 

 “清吉兄さんは台湾から上海の方にわたり、それから北京の方でも仕事をされ、蒙古で先生の考えておられたと同じようなことを目的にして仕事をされていたそうです。蒙古というところは、神界からは理(わけ)のあるところでありまして、大本にあることは不思議なことばっかりであります。”

 

            (出口すみこ「おさながたり」天声社)

 

 

・エドガー・ケイシー・リーディング

 “もっと親密な兄弟愛、隣人を自分自身のように愛する精神がアメリカの中で培われてなければ、文明は西回りに流れるに違いない。そして、またモンゴリアが、あの憎まれた民族が台頭するに違いない(3976-15)”

 

            (林揚「世界大破局への秒読み」曙出版)

 

        ・出口総裁入蒙進路要図