「われはオリオン星座より来たれり」
大国 ……出口聖師(王仁師)は、体に星をもっておられた。
―――背中にあった三つ星の印点ですね。
大国 そうだ。三つ星だけじゃない、オリオン星座そのものの印点があった。三つ星の印点は多数の人が見ているが、僕は聖師とよく風 呂に入ったので、星座そのものを何度も見ているし、さわったこともある。
一番目立って見えたのは真中の三つ星。誰が見ても、大きいヤイトをふせたような痕(あと)でよく判ったね。
―――ホクロですか結局。
大国 ホクロみたいなもんじゃ。しかし、誰もみんな三つ星しか気がつかん。こっちへチョンチョンあるのは見落としてしまうんだ。それを全部つなぐと『人』という字になる。それを背中の四隅に囲むように印点があった。
その印点を全部結ぶと『囚』という字になる。だから聖師は、囚(とらわれ)人となる人なんだ。むしろ、その運命をもっておる人だということだ。三つ星は、救世主であるけれど、必ず囚われなくてはならない運命を持っている。それは聖師自らも自覚しておられた。
『救世主は一応囚われにゃ、ほんとに救世主にならん。だから、わしは囚われるんだ』と言われた。それで私は『これから囚われると言うたって、囚われんようにしたら何でもないじゃありませんか』と言うと、『必ず囚われる。必ずそういうことになる。それがわしの運命で、それをやった後、はじめて世界に変動が起きる、世界が変わっていくんだ』と言われた。
大本事件が起きる前、側近に『誰も行かれん所へ、わしはもうすぐ行くぞ。誰もついて来れん所や』と言われる。誰もついて来れん所ということは、獄屋のことじゃった。それで僕には『一緒に入ろうぞ』と言われる。どこへですか、と言うと、『オリオンの三つ星の中に行こうぞ』と言われる。そして、なるほど、三ツ星の中へ一緒に入ってしまった。
……だから聖師には色々の相があった。自らも、『俺は悪人にもなるし、悪魔にもなる。だから悪相にもなる。それから善なる本当の相にもなる。ほんとうに女性的な相にもなる。だから、たくさん写真を撮って置いておけ。将来、見る人が出て来て見ればわかるから』と言われた。
すみなれしオリオン星座をたち出でて われ花明山(かめやま)の月を見るかな
(「人類愛善新聞」昭和五十三年八月一日号 大国美都雄『オリオン星座と王仁師』』