無目的に用具にこだわる姿勢には批判的なんですが、このブログへ検索して辿り着く人のうち、用具レビューを求めてくる方の割合が大きかったりします。
用具沼にハマりそうな人に向けて、無駄な時間を過ごさず済むよう、ラクザⅩソフトに辿り着く直前、試しに使ってみたロゼナのレビューを載せておきます。
WRMに9月頃投稿したもののリライト版です。
やや忖度あり。
【レビュー対象】ロゼナ/バタフライ/赤/特厚
【使用環境】
ラケット:ビオンセロ/ニッタク/FL
F面:ロゼナ/バタフライ/赤/特厚
B面:No.1/Dr.Neubauer/0.6mm/黒
総重量:172g
【ラバーの選択趣旨】
これまで、F面にテナジー05FX/バタフライ/赤/特厚を10年程使用。
攻撃時の安定性・威力、ツッツキ&カットの回転量には満足していましたが、値段の高騰と、フォアカット時に弾みが強過ぎることがネックでした。
この弾み問題は、勝てる人には圧倒できるポイントになりますが、負ける時の大きな敗因になりがちで、カットマンとして勝率を上げていく上では、自分の実力では持て余していると感じていました。
自分より少し実力が下の人を更にボコる力は得られるけど、実力が上の人には通用せず、むしろデメリットがでかい…という感じです。
希望は05FXより弾み"だけ"落ちたラバーですが、弾みが落ちると回転性能も付随して落ちるものか、粘着等のかなり硬いラバーしかなさそうだと考え、半ば諦めていました。
厚みを特厚から厚に変更することも考えましたが、重量が大きく落ちて、ラケットのバランスが変わってしまうことが嫌でした。
2020年は、とうとう練習量を確保できる時期が訪れてくれたので、この機会に用具変更を試すチャンスだと考えました。
そこでテナジー05に入る前のステップアップラバーとして位置づけられているロゼナは、もしかすると、僕の追い求める神ラバーかも知れない…と期待を抱き、試し買いした次第です。
ほぼテナジー05FXとの比較をメインに記述します。
【ラケット貼り付け時のラバー重量】
テナジー05FX/特厚 →50g
ロゼナ/特厚 →50g
カタログ情報では、スポンジ硬度はテナジー05FXが32度、ロゼナは35度。そうなるとロゼナの方が2~3gは重くなるだろうなと予想していましたが、実際は全く同じでした。
重量は変化して欲しくなかったので、この点は良い感じ。
カットマン用ラケットのブレードサイズでこの重量なので、攻撃型用ラケットならもっと軽いと思われます。
テンション系ラバーかつ柔らか系だと、最軽量レベルです。
【触り心地】
05FXよりさらに柔らかく感じました。
スポンジ硬度はロゼナの方が硬いはずなので、測った訳ではありませんが、シート硬度が05FXよりものすごく柔らかいのかも知れません。
シートの引っ掛かりは、05FXより"明らかに"劣ります。60時間ぐらい酷使した05FXと同等ぐらいかそれ以下。
ザ・ドイツ製って感じの触り心地です。ぷにぷにで気持ち良し。
攻撃技術全般
【フォア打ち】
05FXと比較してスピードはほぼ遜色なし。
ただ、この時点でやや球質が軽いことに気づきます。
【対上回転ドライブ】
前中陣での対上回転のドライブなら、05FXとスピードはほぼ遜色なし。回転は05FXより下ですが、僕の場合、前中陣では回転性能を求めていないので、許容範囲でした。
回転量で考えると、同程度の硬度でもっと回転のかかる同価格帯のラバーはあるかと思います。
自分の技量だと、かなり一生懸命回転をかけに行っても「まあそれだけ頑張ったらそれぐらい回転かかるわな」ぐらいのボールにしかならず。
05FXと比べて球が明らかに軽くなり、相手も取りやすそうです。
球持ちは05FXと同等レベル。フォームは無意識に変わっていたかも知れませんがほぼ同じスイングで入ります。
【対下回転ドライブ】
しっかり厚めにスポンジに食い込ませないと、05FXの感覚のまま振ると落ちます。
05FXだったら、インパクト弱めでもシートで持ち上げられるような球でも、ロゼナだと落ちます。「シートだけでボールを掴んで持っていく」ことは、新品状態でも難しいです。
シートのグリップ力が、05FXのみならず、明らかに同価格帯の他メーカーの中上級者向けラバーより劣ると感じました。
射出角度が低いのかも知れません。
【後陣からのドライブ】
対上でも対下でも、前中陣ではそこまで気になりませんでしたが、後陣から打つと05FXより明らかに弾みが落ちるなと感じます。スピードや飛距離を出すには、一生懸命身体で力を伝えないといけません。
自分としては、後陣から撃ち抜けるようなボールを出そうとは思っていないので、この点はそこまで問題に感じませんでした。
横回転は十分かかりますので、むしろカーブロングなら、失速と合間ってやらしいボールが出ます。
ドライブに関してまとめると、
対上回転は、05FXより回転が落ちますが、それ以外は遜色なし。
対下回転は、如実に性能差を感じます。
後陣からの飛距離の差は明らかにあり。おそらくシートの差です。
【カウンタードライブ】
シートであまり掴んでくれないので、05FXの感覚で擦って回転を上書きしようとすると、落ちます。
相手の球威を利用して、少し厚めに当ててちょっと回転をかけるなら、いい塩梅です。これは05FXよりもやり易く感じました。
ただし、球質は軽いです。
【スマッシュ】
特にシートが柔らかいせいか、非常に打ちやすく感じました。
また、シートの引っ掛かりが05FXより劣ることも相まって、回転に鈍感なので、一層打ちやすいです。
カウンターでも対下でも、使用感と安定性は05FXと同等以上です。
ただし、球質は軽いです。スピードはほぼ遜色ないのですが、ナックルが出にくいのでしょうか…?当てられるとよく返球されてしまいます。
守備技術全般
【ブロック】
スマッシュと同内容です。
スマッシュやりやすい=ブロックやりやすい です。
【ツッツキ】
05FXの代替商品を期待して購入してしまったので、申し訳ないですが、期待した性能はなく、致命的に劣ると感じました。
この時点で、継続使用は有り得ないと結論しました。
弾みが05FXより落ち着いているため、コントロール性能はよく、入るにはよく入ります。しかし自分の技量では、回転量が明らかに落ちます。
飛ばない分、安心して回転をかけにいけるかなと思っていましたが、そもそもシート表面で擦ってもあまり回転がかからず。
05FXより飛ばない分だけ、切る切らないの変化もつけやすいですが、そもそも切った時の最大回転量が落ちてしまうので、回転量の変化幅も出にくく、相手のラケット面が狂ってくれません。
わざわざ変化をつけるリスクを冒すメリットを感じられませんでした。
打点高めで刺すツッツキをしても、相手が思わずネットにかけたり、詰まったりするようなボールが出てくれないので、非常に物足りなさを感じました。
【カット】
フォアカットで使用しましたが、05FXと比べて非常によく入ります。
05FXより飛距離が出ないから、押さえやすく自分で飛ばしやすいですね。そのため、コントロール性能的には申し分ありません。
ラバー変更のきっかけとなった「フォアカットぶっ飛び問題」は解決し、この点は非常にメリットに感じました。
ただし、回転量が明らかに05FXより劣ります…。この点はツッツキと共通しています。
僕はフォアカットでは、回転量の変化幅で勝負するタイプですが、安定性とどっちを取るか悩みどころでした。
が、安定性の高いツッツキでも回転量が落ちるので、ツッツキ&カットを総合的に考えると、「無いな」という判断になりました。
サーブ・その他台上技術
【サーブ】
シートの差です。05FXより明らかに劣ります。
同価格帯なら、他の初中級者向ラバーを使った方がかかるでしょう。
【フリック】
あまり上手ではありませんが、それだけに、特に弾く系フリックがとても入れやすく感じます。
シートの鈍感力のおかげかと思います。
その他
【B面への影響】
今回05FXから貼り換えたことで、B面の弾みがやや落ち着いた印象になりました。
気持ち落ち着いた、ぐらいですので、そこまで劇的な変化はありません。
おすすめな方
ラリー・安定志向の、まずは基本に忠実に粘るタイプの中級者までのカットマン。
前中陣の対上回転ラリーがメインの初中級者のドライブマン。
安いラバーを貼っておいて、ラケット交換時、重課金者に対してメンタル面で逆マウントを取ってプレッシャーを与えたい人。
回転量にこだわってしまう人には、オススメできません。
B面に貼るなら、中級者までなら受けるラバーかなと思います。
自分から回転をかけたい、上書きしたい、という自我の強い人には、合いません。
とにかくラリーをしたい、相手の球威を利用してカウンターしたい、ブロック卓球をしたい、とにかく気持ちよくボールをコントロールしたい…という人には、とても合うラバーだと思います。
打球感も、柔らかラバー好きにはたまらない心地よさをしています。
まとめ
当たり前ですが、シートの差ってすごいんだな~と実感しました。
バタフライのカタログ数値を引用しますが、
【05FX】
スピード13
スピン11.5
【ロゼナ】
スピード13
スピン10.8
とのこと。
この数値を見て、スピン0.7しか違いないやん!買い買い!と思ってしまいましたが、このカタログ数値は誇大広告です。
僕の使用した時の体感数値は
【ロゼナ】
スピード11
スピン9.0
これぐらいでちょうどいい感じです。
スピン値はもうちょっと低いぐらいかも知れません。
05FXと比べ、値段もぐっと下がるので、多少性能が落ちても満足できるなら使い続けようと考えていましたが、いつもなら決まるボールが決まらなかったり、いつもなら次に質の低い球が返ってくるところが普通に返球されたり、いつもなら繋げて入れられる下回転が持ち上がらなかったり…というところで逆にフラストレーションが溜まりました。笑
メリットとしては、いつもなら少し安定していないボールが安定して入る…というかなりデカい点はありますが、前述のフラストレーションを感じるぐらいなら、技術力でカバーしたいなと感じてしまいました。
05FXを使い続けているので、基準が贅沢になってしまっていたかも知れません。
かなり辛口になってしまいましたが、そもそも05FXの代替ラバーとしてロゼナを買ってしまったのが、失敗だっただけだと思います。
特に回転量にこだわりのある人にとっては、テナジーの廉価版だー!と思って飛びつき買いすると、かなり物足りなさを感じると思います。
テナジーとは別物で、決して代替ラバーにはなりません。
ロゼナのコンセプトもそうですが、本来のターゲット層は、コントロール性能を重視し、まずは基礎能力の向上を目指す初~中級者の入り口辺りだと思われるので、その点では本当にすごくいいラバーだと思います。カットすごく入りますし。
あと、ピンクのスポンジの色合いが可愛いです。見た目はかなり好きです。笑
僕の求めるものとは違いましたが、一度ロゼナを試している間に試合に出ました。
戦績は、今まで負けていたような人にはしっかり負けて、勝てるような人にはしっかり勝って…というものだったので、自分の実感より、客観的な強さ面では、±変わらずだったのではないかと思います。
そういう意味では、05FXを持て余している自分にとっては、コスパが良かったのかも知れません。
しかし、直後にロゼナより安価に手に入り、かつ自分にとって高性能なラクザⅩソフトに巡り合ったので、すぐ用済みになりました。