暑くて寝苦しく、うとうとしているとき、大きな地震に見舞われた。
まさしく「ドンッ!」と一突きされた感じで、思わず叫んで飛び起きてしまった。
いやだ、こんな暑いときに地震なんて。
避難所とか、激熱だろうし。コロナとかも怖いし。避難用具とか何も準備していないし。ダブルワーク先から重要な要返却書類を預かっているし。
どうしよう、どうしよう。
充電中のスマホを見た。深夜3時。だが、緊急速報も地震速報も何も入っていない。
飛び起きはしたが、頭は半分眠っているのである。
まわりは何もなかったかのごとく静まり返っている。
どうしよう、と思いつつ、またうつらうつらしてしまった。
そこへ二度目の「ドンッ!」が‥‥‥
前のより大きい気がする。
さっきのが余震だったのか。いや、余震は本震より後にくるものだろう。じゃあさっきのは何か。前震なんてあるのだろうか。
そんなことより、少しでも寝ないとまずい。今夜はほとんど寝ていない。
やっぱり頭は半分眠っている。
今になってみれば、睡眠時間の確保より地震から身を守ることのほうが先に決まっている。
…ということで、今日、職場につくなり、地震のことを話した。
みんながみんな、ポカンとしている。
誰一人、地震に気がついていなかった。それどころか、新聞でもテレビでもスマホでも、地震があった旨の報道はなかった。
…どうやら地震があったのは鞠子家だけらしい。
身体中 揺れた確かに 揺れたのよ
鞠子