テレビで転職サイトのCMがたびたび放映されている。
「こんなポジションで?」
「こんなにスカウトが来るなんて」
このセリフを聞くたび、正直イラっとする。
そんなポジションで、そんなにたくさんスカウトが来るわけない。
これまでに相応のキャリアを積んだ人でなければ。
まあ、「ハイクラス転職」と銘打っているので、ハイクラスじゃない人ははなから論外なんだろうが。
実際、転職経験のある身として。
仕事を辞めるときは、相当な覚悟が必要だった。次の職場がいろんな意味で今よりいいとは限らない。何度も転職を繰り返すことはしたくないので、だったら今このままここにいた方がいいだろうか。新しい職場では、また1からスタートしなければならない。
そんなこんなで心が乱れるのは、ハイクラスじゃないからか。
だけど、そういう人のほうが多いのではないだろうか。
私など、いろいろ我慢ならないことがあって、勤めて3日にはもう辞めたい気満載だった。
一方で、タダで辞めるのは損だという気も同量くらいあった。
3年は粘ってみよう。その間に、最低限のスキルは身につけて、それから辞めてやる……そう考えて、結局3年半、そこで働いた。
3年いてこそ分かったことも多々あった。
今、振り返ってみれば、その3年半は決して無駄じゃなかったと思う。
転職したらバラ色の日々が待っている、は、鵜呑みにしないほうがいいと思う。
とはいえ、自分の人生だから、自分で決めるだけのことであり、転職しようがしまいが、その後の人生は自分で引き受けるしかない。
あの頃の 良きも悪きも 今笑う
鞠子