職場にかかってきた電話に、新卒社員が出た。
話しぶりを聞いていると、どうもややこしそうな件みたいだったが、新卒クンが自分なりに対処しようとしているのが分かったので、あえてほうっておいた。
発信者はT協会を名乗る人物だったとのこと。
長い電話が終わったあと、彼が言うには、「(うちの)客様数人がFという人の紹介で当協会にいらっしゃることになっているのだが、おたくはどういうところか」という問い合わせだったそうだ。
この内容から察するに、客様数人は、全員「うちの客である」と名乗ってアポを取ったことになる。一般的に考えればありえない話だが、全くないというわけでもない。
そんな微妙な案件だったので、新卒クンがしどろもどろな返答をしたのは当たり前。ではなくて、問題なのは、彼が「F氏を知らなかった」ことだ。
F氏は、地元出身の国会議員。名前ぐらいは常識として知っているべきだ。
電話をかけてきたT協会氏が、「Fといえば誰もが知っている」という前提で話をしたため、新卒クンは余計に混乱してしまったのだ。
「知っていて当たり前」の事柄が、年代によって違うだろうことは差し引いて考えなければならない。
それにしても、若い彼と一緒に仕事をしていると、それを知っていないとまずいだろうと思うことが少なからずある。
なんだかめっちゃ頭はいいのに、え? それ、知らないの?ということが。
テレビとか新聞とか、普通に見たり読んだりしていれば、普通に出てくる事柄なのに。
いや、私が彼くらいの年齢だったとき、上司や先輩も私に対してそう思ったのかもしれないな。
やっぱり、私が年を取ったということなんだろうか。
それを知り 何が得かと 君は言い
鞠子