スイミングで、いつも会う女の人に時の挨拶をした。
たまたまそのとき、私の隣にいた別のスイミングトモが、その女性が通り過ぎた後「あの人ねえ」と顔をしかめて話し出した。
いつもマッサージ器を占領しているのだそうである。
順番待ちをしている人がいるのに、1クール(←10分ぐらいかなあ)終わってなお、またスイッチをいれて、何クールも居座り続けるのだそうだ。
「全く、自分勝手なんだから」
と、トモは怒っていた。
それだけでなく、その女の人の体臭が不快だ、とまで言い出した。
聞いていて、私はとてもがっかりした。
マッサージ器を占領しているのは確かなんだろう。体臭が不快であるのも、きっと間違ってないんだろう。
だけど、私は直接その現場を見たことはない。体臭を感じたこともない。
だから、応じようがないのである。
それに、もし、私とその女の人が仲良しだったらどうするのか。
そういうことだって、十分、あり得るではないか。
つまり、私の感覚からすれば、このテの話を、私のような間柄の人に口外してはならない。
せめて、スイミングとは全く関係のないところで話してほしかった。
私ががっかりしたのは、そのせい。
文句を言っているトモを、すごく好意的に見ていたからだ。
そういう内容の話を、私にするような人とは思っていなかった。
聞いたところで、私にとっては、どちらも「スイミングで毎日会うトモ」なのだ。
この話は聞きたくなかった。
特に彼女から、聞きたくなかった。
浮き上がる 悲しみ流した 水面に
鞠子