今日の映画鑑賞は『九十歳。何がめでたい』。
佐藤愛子さんの人気エッセイが映画化されたもの。
読んではいないのだが、なんだかおもしろそうだの1点で、観ることにしたのだが……
冒頭、いきなり「草笛光子90歳記念」みたくな字幕が出る。
そうか、草笛光子さんのお祝い映画なのか。
…という前提で見ると、これは十分楽しめる。
90歳になろうと、草笛光子さんの演技は絶品。もう、安心して笑って見られる。
くわえて、唐沢寿明さんとか真矢みきさんとか、出てくるのが「ベテラン俳優さんばかり」で安心感増大。
つくづく、最近の若い役者さんとの「コクの違い」を思った。
ただ、途中で佐藤さん(←映画では草笛さんが演じる)の『九十歳。何がめでたい』が発刊され、売れに売れるシーンがあるのだが、ここはちょっと食傷気味だった。
病院の待合室にいる人も、老人施設にいる人も、リハビリしている人も、ヨガをしている人も、みんな『九十歳。何がめでたい』を読んでいるのである。
ここだけは、笑えるというより、まるで「思想統制」のシーンを見ているようだった。
ところで、
今、黒井千次さんの『老いの深み』を読んでいる。
佐藤愛子さんは現在、100歳を迎えられたとのことだが、黒井さんも90歳を越えている。
10歳の違いは大きいかもしれないが、それにしても、老い方が真逆。
いわば、「動」と「静」。
あるいは「繁る」と「枯れる」。
私はどっちになるだろう。
気持ちとしては、黒井さん方向で行きたい。
それよりなにより、こういうテーマの映画を観、本を読むことこそ、私も「その年齢に近づいた」証拠。
本当に私も、年を取ったんだなあと寂しさひとしきり。
炎天下 走る子ら見て 己知る
鞠子