『もしも徳川家康が総理大臣が総理大臣になったら』という映画を観た。
ま、想像通りの映画だった、というか、想像通り、面白かった、というか。
でも、だね。
ストーリーとしてはいたって単純。
新型コロナにより首相官邸でクラスターが発生。総理は急死。大混乱に陥る日本政府が実行した最後の手段は、歴史上の偉人たちをAIで復活させ、期間限定の最強内閣をつくることだった。
そうして、徳川家康総理大臣が誕生、織田信長や豊臣秀吉、聖徳太子、紫式部、北条政子、徳川吉宗、徳川綱吉、坂本龍馬etc.etc、時代も何もバラバラな偉人たちがよみがえってくるのである。
彼等が繰り出す策は、奇想天外だが結構的を得ている。現代人が忘れてしまったこと、痛いところをついてくる。そういう意味では風刺的であり、かつ相当「説教臭い」のである。
つまり、偉人たちの言うことは、いちいちごもっともなのである。
そこが私的には「でも、だね」。
いちいちごもっともな部分が、当たり前すぎ、目新しくなく、そう言うだろうなと読めてしまうのだ。
どうせなら、エンターティメント一色で、思いっきり笑って終わりたかった。
ただ、「もしも…」というのは、私もよく考える。
今、三島由紀夫がいたら、夏目漱石がいたら、太宰治がいたら、芥川龍之介がいたら、そして谷崎潤一郎がいたら、何を言うだろう。
あるいは東条英機とか。
この映画では、徳川家康がラストシーンで持論を等々と述べる。
家康を演じるのが野村萬斎だから、説得力倍増。
だけど、もし今、本物の徳川家康だったらそう言っただろうか。
…という方面から考えると、この映画、倍楽しめるかも。
安寧は 倦怠・怠惰 紙一重
鞠子