仕事用で銀行へ。
ATMの横に「この人、見かけたら110番」のチラシが貼ってあった。
これ、私が行く銀行のほとんどに貼ってある。
だから、何人もの男の写真が載っているのだが、中でも上地恵栄さんなんて名前まで覚えてしまった。
そしてもう一人、桐島聡さんも。
写真を見るたび、想像した。
この人たち、いったいどんな思いで毎日いるのだろうか。
怯え苦しみ、か。いやいやいたって普通に楽しく、か。
いずれにしても、私には想像できない日々を送っている。あるいは今や、もうこの世にはいないかもしれない。
桐島聡さんも、死ぬ直前に名乗り、死んで本人と確認された。
どんな気持ちで名乗り、どんな思いで死んでいったのだろうか。
「この人、見かけたら100番」チラシ、1人分、空白になっていた。
その白い部分に「御協力ありがとうございました」と印字されている。
ただ、それは桐島さんではない。
見慣れた桐島さんの写真は、まだ載ったままだった。
人一人 たかが一人で されど人
鞠子