先週土曜日、工藤重典×リチャード・シーゲル「優雅なバロックの調べ」なる演奏会に行ってきた。
フルート奏者・工藤重典さんの名前は、どこかでちらと聞いたことがあった。
チェンバロ奏者・リチャード・シーゲルさんは、全く知らない名前。
だから、どちらかといえば「バロック」に惹かれ、演奏曲目の中にBACHが何曲もあったことで、行く気になった。
縁あって、BACHを歌う合唱団に入り、Altoの末席を汚して30年超。
合唱といえば、「ソプラノが主旋律を歌い、他パートはいわゆる伴奏」と思っていたが、この合唱団でその思いは大きく覆された。
Altoの旋律だけでも、十分ソロのメロディたる。
他パートも同様。
なのに、全部重なると、絶妙なハーモニーになるため、いちいち唸らざるを得ない。
今回は、フルートとチェンバロだけということで、もしかしたら若干物足りないかも、と予想していたが、これもまた、大きく予想を外れた。
フルートもチェンバロも、「ともに主役」であることは変わりない。
その上、BACHの曲というのは、実に「数学的・化学的」であり、それが面と向かって表出してきた感大だったのだ。
ややこしい数式が、うまく解ければピタリと解がでる。
CとO2を足したらCO2になる。
フルートの旋律とチェンバロの旋律が重なると、もう入り込む余地がない。
そのくせ立体的。
そして琴線に触れる。
なんと素晴らしい、そして不思議な音楽だろう。
ただし、入り込む余地がない演奏は、ちょっとやそっとでできやしないが。
今ここで BACHに会ったら きっと泣く
鞠子