仕事用で銀行に行ったのに、ATMの前で不足の書類に気がつきあたふたしてしまった。
とりあえず、なんとかやり過ごして事なきを得、ATMコーナーを出た。
私が出るのと同時に、中年の男性が入ってきた。
駐車場につく直前で、ATMの横にある傘立てに日傘を忘れてきたことに気がついた。
あたふたの動揺に気を取られたんだろう。
なんておバカか…と思いつつ、またあわてて銀行に戻った。
そのATMは、さっきすれ違った男性が使っていた。
急に手を伸ばしてびっくりさせないよう、「申し訳ありません。傘、私のです」と言いながら手を伸ばした。
その男性は、ちらと私の方を見た。
そして、「車、気をつけてね」といってニコッと笑った。
意外な言葉が出てきてびっくりした。
考えてみればおかしな声がけなのだが、なぜかすごく穏やかな気分になった。
一言で ココロ和んで 緩む秋
鞠子