以前、直木賞だか芥川賞だかを取られ、その前も後もとても人気のある作家さんがテレビに出ていた。
今度、今まで書いたことのないノンフィクション系のものを書かれ、出版されたらしい。
私はここ数年、もっぱら文豪系の作品ばかり読んでいるし、この方の作品はひとつも読んだことがない。「名前は知っている」「すごい人気作家」程度の知識しかなく、本人を見たこともない。
だが、今日のテレビでのトークを聞きながら(←運転中につき、音声のみ)、とっても違和感があった。
失礼を承知で言うと「語彙が乏しい」。
例えば「すごい〇〇」とか「徹底して」とか「本当に」を、耳障りなほど矢継ぎ早に連発するのである。
今回出された作品の内容からして、「感極まる」的な状態であろうことはよくわかる。
だから、これが一般人なら十分に共感できるのだが。
作家という職業の人は、とても豊かな言葉で話す、逆に寡黙でトーク番組には向かない、そんなイメージを勝手に持っていた。
かなり前に聴いた渡辺淳一さんなど、トツトツとした話しぶりだったがときどき思わぬ笑いを投げかけたりドキリとするエピソードを含められたりで、やっぱりすごいなあと思った。
もっとさかのぼれば、夏目漱石の講演録『私の個人主義』を読んだとき、「ナマで聴いたらとれだけ感動しただろう」と思った。もちろん文章に起こしたものだから、多かれ少なかれ手が加えられているとは思うが、それ以上にナマ講演はプラスがあったに違いない。
そういう先入観が強すぎるのかな。
でも今日をきっかけに、この作家さんの本を自分から読みにいくことはないな、と思ったことも事実。
ま、個人の好みの話で、じゃあそうすればと言われればそれだけの話。
好く好かぬ 言葉とその間の 色模様
鞠子