ステップ台運動ジムの対面に、Sという中華料理店がある。

いわゆる「本当」の中華料理店で、なかなかおいしいし、でもお値打ちなので、ランチ時はいつも混んでいる。


今日は11時半から13時半まで踊った。そろそろ帰るかとふと窓の外を見たら、S店、珍しく空いているではないか。

だがしかし、S店の昼営業は14時まで。

あわてて着替え、さっそくS店に行った。


店内にいたのは1組だけ。

私は特別ランチ(←1100円)を頼み、待つことしばし。

そして、13時50分くらいに男の客が一人、入ってきて「まだいいですか」と言った。店スタッフが聞いたら「3人です」と言う。


OKが出て、奥さんと娘さんらしき2人も後から入ってきた。

案内されたのは私の斜め後ろの席。


特別ランチが出てきたタイミングでチラと後ろを見た。

お父さんが1人でメニューを立ててガン見している。その目の前で、お母さんと小学2年生か3年生くらいの娘さんが、黙ってじっとうつむいていた。


それはものすごく異様な光景だった。


しばらくしてお父さんがスタッフを呼んだ。

オーダーしたのは「キムチチャーハンと唐揚げとAセット(←醤油ラーメンと半チャーハン)」だった。


そうそう、この店、おいしいしお値打ちだけど、量はあんまし多くない。私でも、Aセットプラス餃子を完食できるほど。

3人でそのオーダーでは足らない気がする。

それに、キムチチャーハンは子どもに向かない気がする。

なによりオーダーにお母さんや娘の意見が全く加味されてないのはなぜなのか。

そうそう、もうひとつ付け加えると、この店、店外にはメニューも食品サンプルも全く置いてない。だから、店外で相談してきたとは思えない。


オーダー後も、3人はうつむきがちにテーブルの1点を見つめ、押し黙ったままだった。

家族全然、スマホを見てる光景も異様だが、今日見た光景はそれ以上に異様だった。


もう、特別ランチどころではなくなってしまった。

私が食べ終わり店外に出るまで、3人はその姿勢のまま、一言も口をきかなかった。


「黙食」を徹底してるのか。

それにしても、だ。

なんか哀しすぎやしないか。






たわいない  おしゃべりできずに 居る悲劇

鞠子