昨日、念願かなって『新春ピアノマラソン』をした。
公共施設の音楽室を1日中借り切って、朝9時から夜の9時までピアノを弾き続けたのである。
完全防音になっているその音楽室、室内は「飲食厳禁」であり、説明書にも室内の掲示にも「違反した場合は、今後、貸せない」旨の脅迫文言が書かれていた。
当たり前と言えば当たり前だ。
だが私は、12時間に耐えられるよう、お茶やお菓子を持参していたのである。
いや、室外に出てロビーとかで食べるのは何ら問題はない。だが、「ちょっとでも時間が惜しい」私は、禁を破って、キューブタイプの一口サイズ『ブラックサンダー』を4、5個、食べた。
欠片が落ちてはいけないと思い、カバンの中で封を開け、顔をカバンに突っ込むような形で食べたのである(←ここまでしても時間を無駄にしたくないという私の執念がすごいが)。
そしてまるっと半日、弾きまくり、あわてて現状復帰し、クロスでピアノを拭き、鍵をかけ、カバーをかけ、事務室に鍵一式、使用許可書、CO2測定器などを返して一日が終わった。
…と思ったのだが、家に帰って楽譜の整理をしているとき、「封を開けた『ブラックサンダー』」だけがないことに気がついた。
あとのお菓子(←新品のまま)やお茶は全部あるのに、食べかけの『ブラックサンダー』だけがどこを探してもないのである。
もしかして、音楽室に忘れた???
それはヒジョーにまずい。まるで「はい、室内で食べました」と宣言しているようなものではないか。
待て待て、よしんば忘れたとしても、それは「室内で食べていた」証拠にはならない。「食べてません」と言い張ればすむことだ。
だが、室内はちゃんと見まわした。『ブラックサンダー』が落ちていたら気がつくはずだ。
いやもう一度、待て。落ちるはずがない。だって、『ブラックサンダー』、カバンから出してはいないんだから。
しかし、これだけ探してもないということは、どこにも寄り道していない以上、もう間違いなく、音楽室のなかにある。
暗澹たる気分になった。
会館からは、「忘れ物の連絡」と「お叱りの連絡」がいっぺんにくるに違いない。
もう、あの音楽室は借りれない。
…とまあ、頭のなかは「消えた『ブラックサンダー』」のことで頭がいっぱいで、『新春ピアノマラソン』の余韻など吹っ飛んでしまった。
…だがとりあえず、今日のところは会館からの連絡はなかった
シューベルト バッハもショパンも チョコに溶け
鞠子