2023年映画初めは『近江商人、走る!』
池上彰さんが「江戸時代にも先物取引があった」等と番宣していたのと、ポスターを見て「時代劇版喜劇」と判断して、とにかく「笑いたい」私は、この作品を映画初めに選んだ。
···のだが、いきなり畑を耕す貧しい農民の父子が登場し、おまけに父は胸を患っているのがまるわかりで、イヤな予感。
そして、子どもは寝ついた父の代わりに1人でリヤカーを引き、大根を売りにいくシーンでますますイヤな予感。
···やっぱり、予感的中。
武士にぶつかり「無礼者!」と斬られる寸前に、助け、身代わりに引っ張られていった薬売りのお兄ちゃん。「大津の米問屋大善屋を頼れ」と言い残して······
うわ、しまった、今日は悲劇は勘弁してほしい···と思ったのだが、あにはからんや、その子・銀次は、大善屋でめきめき才覚を表す。悪徳奉行の悪だくみにより大善屋が大ピンチに陥るも、知恵と才覚と人望で真っ向立ち向かっていく。
···だけどなぁ、一言で言っちゃえば、「中途半端」。
悲劇アリ、喜劇アリ、人情味アリ、正義アリ、親子の愛アリ、労使の信頼アリ。なんでもアリで全部中途半端な感が否めなかった。
つまり、万人受けするけど、で、なんだったんだろう、みたいな観後感。
思いっきり笑いたかった私には、物足りなかったな。
俳優さんで言えば、
悪徳奉行を演じた堀部圭亮さん。本当に悪いヤツそのもので素晴らしかった。
もう一人、
銀次の先輩丁稚・蔵之介の父を演じた矢芝俊博さん。悪徳奉行にいいように使われ、大善屋を裏切り息子を苦しめ堕ちていく、実は気弱でひがみ心いっぱいのしょうもない人間を見事に演じていた。
それから、
お茶屋の女の子たちの人気投票をするシーンが、何だかauのCMを見てるみたいだった。
撮影に 投じた額に 思いはせ
鞠子