二松学舎大学の元大学長・石川忠久先生がお亡くなりになった。
私は二松学舎大にいたわけでもないし、石川先生の講義を受けたわけでもないし、つまり、一切、かかわりはないのだが、でも石川先生はとっても大事な人なのである。
30年以上も前のことなのだが、石川先生を取材した記事が新聞に載っていて、座右の銘として紹介された「文質彬彬」という言葉にいたく感動、以来、決して忘れられない言葉になってしまったのである。
好きな四字熟語は?と問われたら、私は絶対「文質彬彬」を挙げる。
「文質彬彬〈ぶんしつひんぴん〉」とは……
〇外面の美しさと内面の質朴さが、ほどよく調和しているさま。洗練された教養や態度と飾り気のない本性が、よく調和しているさま。
〇出典:『論語』雍也
(三省堂 新明解四字熟語辞典より)
こんな人になりたいな、なれたらいいな……今もずっとそう思っている。
永久に到達しえないが。
あのとき、石川先生の記事を見なかったら、石川先生が「文質彬彬」を教えてくれなかったら、私は「文質彬彬」を知らないままの人生だっただろうな、と思う。
そう考えるとなおのこと、大学のとき、漢文学の授業をないがしろにしてきたことが悔しくてならなくなる。
質、文に勝るときは則ち野や
文、質に勝るときは則ち史
文質彬彬として、然る後に君子なり
…まったく、なんて素敵なんだろう。